ピック病は現在日本全国で10,000人以上の患者がいるとされている認知症のひとつで、さまざまな症状が存在します。
一見問題なさそうな人でも実際はピック病を発症している可能性もあるのです。
そこで今回はピック症の疑いがある症状の特徴や原因、さらに治療法やケアについて解説していきます。
もくじ
ピック病はどんな病気?発症する原因は?
ピック症は脳の前頭葉や側頭葉の委縮が原因で引き起こされる病気で、脳に異常なたんぱく質が蓄積することで発症するとされています。
40代から60代の世代が発症しやすいとされており、いわゆる初老期認知症と定義されるものの一つです。
日本ではこのピック病に遺伝性はないとされており、後天的に発症する病気とされていますが、海外では遺伝の可能性も示唆されています。
人間らしさを失う病気と言われており、理性的な行動がとれなくなってしまうのです。
ただ、日本ではこの病気と判断できる専門医がまだ多くないこともあり、
発症していても病名の診断されていない人は10,000人よりもっと多いと言えるでしょう。
ピック病にはどんな症状の特徴がある?
ピック病の症状にはさまざまな種類があり、それぞれ特徴がいくつか挙げられます。
- 感情障害
- 言語障害
- 行動障害
ピック病の症状の特徴 ① 感情障害
- 情緒障害
さっきまで笑顔だったのが突然泣き崩れたり、
怒っていたのが急に楽しそうにしだしたりするピック病の中でも比較的初期に見受けられる特徴です。
- 人格障害
もともと温和だった人が、人が変わったかのように怒りっぽくなったり、
今まででは考えられないような人格に変わってしまったりします。
ピック病の症状の特徴 ② 言語障害
- 反響言語
反響言語とはオウム返しの言葉を指し、話しかけられた言葉を繰り返したり、自分が発した言葉を繰り返したりするのが特徴です。
ですが、発達障害の患者や統合失調症の患者にも大きく当てはまる症状の為、
この症状一つでピック病と判断するのは難しいとされています。
- 滞続言語
滞続言語とは同じフレーズの言葉を繰り返したり、意味もなく言葉を繰り返し発したりすることで、
ピック病症状の代表的な特徴の一つとされています。
ピック病の症状の特徴 ③ 行動障害
- 常同行動
常同行動とは滞続言語と同様に同じ動きを常に繰り返すことを指します。
毎日同じ時間に同じ位置に移動したりと時刻表のような行動が見受けられるのがピック病症状の特徴です。
- 異常行動
異常行動はマナーやルール、社会生活から逸脱した行動を指し、
暴力や万引き、盗難、痴漢、盗み食い、その他社会的なルールを無視した自分本位な行動を引き起こすのがピック病症状の特徴です。
- 被影響性の亢進
被影響性の亢進とは何か物事を行っている中で突然異なることを始めたりすることを指し、
例えば食事中に食事以外の行動をとり始めたりすることがあります。
- 食行動の変化
ピック病を発症すると突然変色になったり、味付けの思考が変わったり、
同じものをひたすら作り続けたりするような食行動の変化が見受けられるようになります。
また、過食傾向になる人も多く、肥満や糖尿病にもつながる可能性があるので注意が必要です。
- 注意力低下
ピック病を発症すると今まで問題なく出来ていた行動に間違えが増えたり、以上に時間を要したりするようになることがあります。
また、超威力の低下によって今まで継続して行うことができていたこともできなくなってしまうこともあります。
- 自発性低下
物事に対する興味や関心が少なくなることで感情移入ができなくなったり、自己表現ができなくなってしまったりすることがあります。
しかしこの特徴はうつ病の症状にも似ている為、中々判断がしづらい部分があります。
ピック病を改善する治療や薬はあるの?
現在の医療ではピック病の改善に効果的な治療法や薬は確立されていません。
また、進行を遅らせる方法も見つかっていない為、現在はピック病を発症することによって起こる症状に対しての治療や緩和療法しかない状況です。
ピック病の症状がある人に対してのケアの方法は?
ピック病を発症した人は自分が病気であることを理解することができません。
その為、そのピック病を患っている人に対する周囲のケアがとても大事になってきます。
- 常同行動を理解する
- 明るくサポートする
- 周囲の人に病気を理解してもらう
ピック病の症状の特徴がある人のケアで大切なこと ① 常同行動を理解する
常同行動はピック病の症状の大きな特徴です。
この特徴をうまく生活のルーティーンとして取り入れることでストレスを最低限に抑えることができます。
逆に常同行動を阻んでしまうと感情が高ぶりやすくなったり、行動障害が出やすくなったりしてしまうので
常同行動を保った生活をキープできるようにしましょう。
ピック病の症状の特徴がある人のケアで大切なこと ② 明るくサポートする
ピック病を発症した人は、自身が病気であることを理解することができません。
それがゆえに無意識な自分の行動で周囲から反感を買い、苦しい想いをすることもあります。
ピック病を発症した人の精神状態を保つ上でもとにかく明るくサポートすることが大切です。
ピック病の症状の特徴がある人のケアで大切なこと ③ 周囲の人に病気を理解してもらう
普段頻繁に接する機会のある人には予めピック病だということを説明しておきましょう。
周囲の人からしても何も知らない中でさまざまな症状が出てしまうと不審に思ってしまうこともあります。
予め周囲の認識を得ておくことで、ある程度寛容に接してくれるようになるでしょう。
ピック病の症状の特徴を知ってうまく病気と付き合っていこう
ピック病にはまだ根本的な治療法がなく、症状とうまく付き合っていく必要があります。
ピック症を発症することによって起こる症状の特徴を予め認識しておき、周囲の人も最大限サポートできるように心がけましょう。