自宅で行うお風呂やトイレ・食事の介護。
介護の仕事をしている人であればある程度の勝手は分かっていると思いますが、
ほとんどの人は介護自体初めての体験で分からないことが多いと思います。
ましてや自分の行動がその人の命に関わると思うとより不安になってしまいますよね。
介助にはお風呂の入浴に関わる入浴介助やトイレに関わる排泄介助・さらには食事に関わる食事介助まで幅広く存在し、
これらはそれぞれ方法や注意点が大きく異なります。
そこで今回はそれぞれの介助の方法や知っておくべきポイントについて解説していきます。
もくじ
お風呂での入浴介助
入浴介助とは、自分の力で入浴をすることが困難な人に対して行うお手伝いのことです。
入浴は心身のリフレッシュにとても重要な行為であると同時に転倒などあらゆるリスクが潜んでいる場所のため、
常に注意を払いながら介助を行う必要があります。
◆お風呂での入浴介助に必要なもの
- バスタオル
- 着替え
- 新品のおむつ
- ボディーソープ
- ジャワ―チェア
- 転倒防止マット
- 保湿剤や塗布薬
- 爪切り
◆介助者が身につけるもの
- エプロン
- 滑りにくい靴
- 手袋
- マスク
お風呂での入浴介助の方法
① 入浴前の準備
- バイタルチェックと浴室の環境チェックを行う
- 浴槽にお湯をためて必要な物を用意する
- 排泄介助やトイレを済ませて脱衣所へ案内する
② 入浴中の介助
- ご高齢者の肌が触れる椅子や浴槽まわりをお湯で温める
- 足元に気をつけながら専用の椅子に座っていただく
- シャワーからお湯を出して声掛けしてから身体を温める
- 足からお湯を当てていき、頭、顔、身体の順番で洗っていく
- 全身を洗い終えたら流し残しがないかチェックする
- 浴槽に入っていただく
- 浴槽に浸かる時間はおおよそ5分程度
- 浴槽、浴室から出るときは非常に滑りやすいので足元に注意する
③ 入浴後の介助
- 濡れている箇所をしっかりと拭き取る
- ゆっくりと椅子に座ってもらい、保湿剤や塗布薬を塗って着替える
- 髪の毛をドライヤーで乾かす
- 水分補給を行って再度バイタルチェックを行う
お風呂での入浴介助時の注意点
入浴介助で注意すべきはヒートショックです。
ヒートショックとは、急激な温度差で発生するショック症状のことです。
特に冬場は浴室と居間の温度差が大きいため、注意してください。
このヒートショックの対策は、脱衣所に小型ストーブを設置するなどがあります。
また浴室は非常にすべりやすいため、転倒によるケガにも十分気をつけてください。
トイレでの排泄介助
排泄介助とは一人でトイレでの排泄が難しい人のお手伝いやおむつ交換のお手伝いをすることです。
排泄介助は特に自尊心を削いでしまう可能性があるデリケートな介助の為、細心の注意を払って行うようにしましょう。
◆トイレでの排泄介助に必要なもの
- 使い捨て手袋
- トイレットペーパー
- 陰部洗浄ボトル
- 陰部清拭ペーパー
- 包み紙(新聞紙等)
- 包む袋(レジ袋等)
- おむつパッド
トイレでの排泄介助の方法
① トイレでの排泄介助
- 排泄意思を伺いトイレまで誘導する
- トイレに到着したら必要に応じて脱衣介助を行う
- .便座にいきおいよく座ってしまうとケガの原因になるため、安全に座れるよう手伝う
- 排泄中は非常に羞恥心を感じやすいため、プライバシーに気を使いましょう
- 排泄が終わったら陰部を素早く拭き取る
- 立ち上がりや着衣の介助を行う
② ポータブルトイレでの排泄介助
- ベッドからポータブルトイレに移る場合は上体をしっかり起こす
- ポータブルトイレの蓋を開けて脱衣介助を行い便座に腰掛けてもらう
- 排泄行為が終わるまで近くで待機し、終わったかどうか確認する
- 備え付けトイレ同様、陰部をペーパー等で拭き取る
- ベッドに移乗したあとポータブルトイレの掃除をする
トイレでの排泄介助時の注意点
排泄介助で気をつけるべきは、ご高齢者の尊厳を傷つけないことです。
排泄な非常にデリケートな行為なので、誰かに見られると恥ずかしいと感じてしまいます。
尊厳を傷つけないためには目線のやり場に気をつける、必ず声掛けをするなどが考えられるでしょう。
またご高齢者の水分補給も十分に行ってもらいましょう。
排泄介助の回数が増えるからと水分制限をする人もいますが、脱水症状や便秘の原因となるので必ず水分を取ってもらってください。
食卓での食事介助
食事介助とは一人で食事をすることが困難な人のお手伝いをすることです。
高齢者は年齢とともに嚥下機能が低下します。
また、認知機能の低下によって一人での食事が難しくなった人に対して行うのが食事介助です。
食卓での食事介助の方法
① 食事前の準備
- 口腔内をブラシでキレイにする
- 嚥下体操を行って食事の意識付けを行う
- 正しい食事の姿勢をとってもらいエプロンをかける
- 食事を用意して隣の椅子に座る
② 食事中の介助
- 食事前に水分介助を行う
- 食事は水分の多いものから順に行う
- 主食、副菜、水分を交互に介助し、食事の楽しさを共有する
- 食事が終わったら食事量を確認
- 食事後に再度口腔内の洗浄を行う
食卓での食事介助時の注意点
食事介助で注意すべきは、食事のペースを急かさないことです。
焦らせると窒息や誤嚥の原因になりますので落ち着いたペースで行いましょう。
また、ご高齢者と目線を合わせるために座った状態で介助してください。
立って食事介助をすると目線が上に向いてしまい、飲み込みづらくなるため注意しましょう。
自宅での介護におけるポイントをおさえて取り組もう
自宅で介護を行う上で心がける点は2つです。
まずは「相手の自立支援を行うこと」。
自立支援とは ”できるだけ本人の力のみで生活を行ってもらうこと” です。
介護をなんでもやってしまうと身体機能や認知機能の低下につながります。
結果として本人のためにはなりませんので、大変そうにしていても自立支援を心がけましょう。
もうひとつは「一人で抱え込まないこと」です。
自宅での介護は非常に大変です。
一人で介護疲れを溜め込んでしまうと「介護うつ」や「介護放棄」につながる恐れがあります。
その状態になる前に、一人で抱え込まない対処法を取りましょう。
周りの人に相談する、介護サービスを頼るなどが考えられます。
この二点を心がけて自宅での介護に取り組むようにしましょう。