栄養失調というと現代の日本人においてなかなかイメージしづらいものがありますが、近年新しい症状である「新型栄養失調」が増えてきています。
飽食の印象が強い現代ですが、しっかり食べているつもりでも実は新型栄養失調にかかっている可能性があるのです。
そこで今回は高齢者も注意が必要な「新型栄養失調」について解説していきます。
もくじ
新型栄養失調ってなに?従来の栄養失調との違いとは
皆さんは「栄養失調」と聞くとどのようなものを思い浮かべますか?
おそらく多くの人は十分な食べ物が確保できずにどんどんとやせ細っていってしまうというようなイメージがあると思います。
栄養失調に陥ると体重が減少していってしまうことをはじめとし、疲労や筋肉量の低下、骨が弱くなることによる骨折や骨粗鬆症、
さらには意識障害までも引き起こしてしまう可能性があります。
これらの症状がひどくなると最悪の場合餓死してしまうこともありますが、現代の日本では中々耳にする機会が少ない話です。
栄養失調と聞くとそのような印象を持つ人がほとんどかと思いますが、新型栄養失調は従来の栄養失調とは全くと言って良いほど異なるものです。
新型栄養失調はカロリーに関しては問題なく摂取することができていてもビタミンやミネラル、たんぱく質などの必須栄養素の
いずれかが不足していることを指します。
そのため一見見た目が健康体だとしても起こりうるものであり、新型栄養失調は別名「隠れ低栄養」とも言われています。
新型栄養失調は現代の飽食環境が原因?
新型栄養失調のリスクが高いとされている年代は若い女性や働き盛りの男性、高齢者です。
自分の毎日の食事を思い出してみてください、以下のようなものが当てはまりはしませんか?
- カップラーメンやおにぎり、菓子パンや総菜パンで食事を済ますことが多い
- 炭水化物や糖質、脂質を抑えてサラダやスムージー、プロテインばかり摂っている
- 偏食でいつも同じものばかり食べている
- 野菜をほとんど摂らない
- ファーストフードばかり食べている
- 食が細くなりあっさりしたものばかり食べている
- 脂っぽいので肉はほとんど摂らない
これらに当てはまる方は新型栄養失調の可能性があり、意識して食生活を変える必要があります。
現代の日本においてこのような食生活を送っている男女、高齢者は本当に多いです。
見た目では分からない分つい見落としがちですが、自分の食生活を今一度見直す必要があります。
「私ってなんの栄養素が不足しているの?」不足しがちな栄養素とその栄養を摂取できる食べ物
新型栄養失調になる人は「ビタミン」「ミネラル」「食物繊維」などが不足することが多いです。
それぞれの栄養を多く含む食事を覚えておくといざとなったときに役立ちますよ。
① ビタミンA
ビタミンAはすべての年代の日本人に不足していると言われている栄養素で、皮膚の粘膜や目を健康に保ってくれる働きがあります。
レバーやバター、鶏卵、緑黄色野菜などがビタミンAを多く含む代表的な食べ物です。
② ビタミンB1
ビタミンB1もすべての年代の日本人に不足していると言われており、糖質の代謝をサポートしてくれる働きがあります。
また、神経や脳の機能を維持するためにも必要な栄養素です。
豚肉や赤身肉をはじめとし、鰻、豆類、全粒穀物などがビタミンB1を多く含む代表的な食べ物です。
③ 鉄
鉄は主に女性が不足しがちな栄養素で、全身に栄養や酸素を運ぶためになくてはならない栄養素です。
レバーや色味の濃い色のお肉、赤身魚、貝類、納豆やホウレンソウ、小松菜などが鉄を多く含む代表的な食べ物です。
④ カルシウム
カルシウムはすべての年代の日本人に不足していると言われている栄養素で、筋肉や神経の働きを正常化させたり、
骨や歯を強くしたりする働きがあります。
牛乳を含む乳製品や小魚、大豆食品などがカルシウムを多く含む代表的な食べ物です。
⑤ 食物繊維
食物繊維もすべての年代の日本人に不足していると言われている栄養素で、腸の働きを活性化させて便通をよくする働きがあります。
乾燥きくらげやごぼう、そば、りんご、バナナなどが食物繊維を多く含む代表的な食べ物です。
食事の摂り方も気を付ければ新型栄養失調を防ぐことができる
必要な栄養素を多く含む食べ物を積極的に摂取することは勿論ですが、食事の摂り方にも気を付ければ新型栄養失調の防止につなげることができます。
まずはどんぶりやラーメンなどの一品料理ではなく定食の食事を積極的に摂ること。
定食の食事は基本的に主菜、副菜、ご飯、汁物などのバランスのとれた組み合わせになっています。
もし一品料理を食べるときは小鉢や汁物を追加するだけでも新型栄養失調の予防になります。
また、毎日同じものを食べ続けることも避けるべきです。
人によっては一度食べ始めると毎日その食べ物を好んで食べる人もいますがこれが栄養の偏りにつながり、
結果新型栄養失調を引き起きしてしまう場合があります。
出来るだけ毎食異なる食べ物、品目を多くすることを心がけましょう。
新型栄養失調は他人事ではない!自分の食生活を見直して健康的な毎日を送ろう
栄養失調と聞くと十分に食べ物が摂取できていない、という印象を持ちますが新型栄養失調は全く異なるものです。
知らず知らずの間に新型栄養失調を引き起こしていて気づいたときには手遅れだったということもあり得ます。
今一度自分の食生活を見直してバランスの取れた食事を心がけていきましょう。