2021年度に行われた介護報酬の改定により、2024年から認知症介護基礎研修が義務化されることが決まりました。
これはこれから介護職を目指す人や資格を持っていない介護職員にとって大きく関わってくる内容です。
今現在は努力義務とされているので認知症介護基礎研修を受講していなかったとしても介護職員として働くことができますが、
2024年からはその状況が変わってくるのです。
今回は2024年から義務化される認知症介護基礎研修がどのようなものなのか、
受講の対象者や初任者研修との違いも解説します。
もくじ
義務化が決まった認知症介護基礎研修とはどんな研修?何を目的に行われるの?
認知症介護基礎研修とは、介護に関わる資格を持っていない人や未経験の人材を対象にした研修で、
認知症の方に対する適切な介護を提供するために必要な知識や方法を学ぶものです。
この認知症介護基礎研修は、2015年に策定された新オレンジプラン(認知症施策推進総合戦略)に基づいて創設されました。
今後の日本における認知症患者の増加に対応するために作られた研修で、
最近は下記内容の約150分のeラーニングのカリキュラムの中で学ぶことができます。
認知症の人の理解と対応の基本
→認知症の人を取り巻く現状、症状に関する基礎的な知識を学び、認知症ケアの基礎的な技術に関する知識を身につける
<内容>
- 認知症の人を取り巻く環境
- 認知症の定義と原因疾患
- 認知症の中核症状と行動、心理症状の理解
- 認知症ケアにおいて基礎となる理念や考え方
- 認知症ケアの基礎技術
認知症ケアの実践上の留意点
→認知症ケアの実践を行うために必要な方法について、実例演習を通じて、背景や具体的な根拠を把握の上、
ケアやコミュニケーションの内容を検討する。自事業の状況や自身のこれまでのケアを振り返り、認知症に人への対応方法を身につける
<内容>
- 認知症の人とのコミュニケーション
- 行動の背景を理解したケアの工夫
- 不適切なケアの理解と回避方法
- 病態、症状等を理解したケアの選択
引用元:認知症介護情報ネットワーク「認知症介護基礎研修シラバス」
特に修了試験などは設けられておらず、かつ1日で修了できるカリキュラムなので手軽に受講することができるのが特徴の研修です。
また、あくまで介護に関わる資格を持っていない人や未経験の人材を対象に作られた研修なので
研修内容も分かりやすいです。
自治体や団体によって全eラーニング型の研修や講義のみのeラーニング、
eラーニングと集合型それぞれ半日ずつ、全集合型研修など違いがあるので
自分の自治体ではどのような方法で受講することができるか調べてみてください。
費用も無料~約5,000円と幅があるので併せて確認してみてください。
認知症介護基礎研修の義務化に伴う対象者は?その一方で受講が免除になるケースも
認知症介護基礎研修が義務化されたことによる受講対象は認知症のケアに携わる介護従事者と
医療や福祉関連の資格が未取得の介護従事者です。
デイサービスや有料老人ホームなどの施設形態は問わず、基本的に資格を持っていない介護従事者を対象にしています。
その為、既に介護に関わる資格を持っている人や
介護以外の看護資格や技士、医師などの資格を持っている人は受講の対象外となります。
また、以下の場合も認知症介護基礎研修の受講対象外となります。
- すでに現時点で認知症介護基礎研修や認知症介護実践リーダー研修、認知症介護指導者研修等の研修をすでに修了している人
- 福祉系の高等学校で認知症に関わる科目を受講し、卒業証明書を受け取っている人
- 養成施設で認知症に関わる科目を受講し、履修科目証明書及び卒業証明書を受け取っている人
- 人員配置の基準上で従業員として算定されていない、もしくは直接介護に関わる可能性がない人
認知症介護基礎研修と初任者研修はどう違う?その違いは大きく2つある
よく「認知症介護基礎研修と初任者研修はどう違うのか」という声が挙げられるのですが、その違いは「対象者」と「カリキュラム」です。
認知症介護基礎研修は介護に携わる職員の中でも医療や福祉の資格を持っていない人を対象としていますが、初任者研修は
介護施設に勤務していない人でも受講することができます。
また、研修内容が計6時間の認知症介護基礎研修に比べて初任者研修は計130時間の講義と実技で構成されています。
どちらの資格のほうが良いか、と比べるものではありませんが
前提として認知症介護基礎研修は無資格の人を対象にしています。
そのため、まず認知症介護基礎研修を取得し
そのあとに初任者研修の資格を取得することでより深く介護に関する知識と技術が身に付くと思います。
初任者研修は認知症介護基礎研修と比べて修了までに少し時間がかかりますが、
その分知識と技術が身に付いて実際の現場でも生かせるようになりますよ。
義務化された認知症介護基礎研修の要件を把握して完全移行に備えよう
2024年から認知症介護基礎研修が完全に義務化されます。
今後増えるとされている認知症高齢者を対応するためにもまずは研修を受けて最低限の知識と技術を身に付けて現場に挑みましょう。