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2021.01.26

延命治療とはどんな治療?メリットやデメリット・事前指示書などについて解説

現代では医療技術が進んでおり、昔と比べて延命治療のレベルが各段に上がっています。
しかし死期が近づくと患者本人の痛みや苦悩が増大するため、延命治療を望まない方もいます。
この延命治療の良い点・悪い点をしっかりと理解し、本人の尊厳を守れるよう判断しなければいけません。

今回は、延命治療のメリット、拒否できる事前指示書について紹介いたします。

延命治療とは|現代の医療技術を用いて命を延ばす

延命治療とは、現代の医療技術を用いて命を延ばす治療のことです。

現代では医療技術が進んでおり、命を延ばす治療を受けられるようになりました。
病気があれば投薬を行い、食べられないなら管を通して栄養剤を与えられます。
そうした治療を用いることで死期をある程度伸ばせるのです。

また延命治療には3種類あり、患者の身体状況によって治療方法が異なります。
延命治療の種類や方法をしっかり理解し、ご家族に合った適切な治療を見つけましょう。

延命治療は必ずしも正解ではない

最新の医療技術を用いることで死期を延ばし、ご家族との時間を長く過ごせます。
しかし、延命治療を行うことは必ずしも正解というわけではありません。
この延命治療には本人や家族への負担がともなうためです。
いくら死期を先延ばしにしても本人は負担に耐え続ける必要がありますし、人間本来の喜びを感じることができません。
延命治療をしたあまり、かえってつらい思いをさせるケースもあるのです。

今までは本人の意志を問わずに延命治療が行われてきました。
ですが延命治療をしないほうが安らかな最期を迎えられるという理由から、延命治療を希望しない方も増えています。
あくまで延命治療を受ける本人の意志が大切で、尊厳を守らなければいけません。
人間の尊厳を守るためにも、本人とご家族で十分に相談し、延命治療をするかどうか決めましょう。

延命治療のメリット・デメリット

延命治療のメリット

延命治療のメリットはご家族の負担を減らせることでしょう。

延命治療を行っている最中は医療施設に入院し続けるためです。
ご家族の介護をするにあたって、自宅で負担をかけながらの方も中にはいるでしょう。
介護される側の症状がさらに悪化すると、24時間かかりつけで行う必要があります。
24時間かかりつけでの介護はかなりの労力となり、ご家族の負担が大きくなるでしょう。
しかし延命治療をする場合、医療行為となるため医療施設に入院しなければいけません。
結果として自宅での介護がなくなるので、ご家族の負担を減らすことができるのです。

また、万が一の時の為に葬儀の準備の猶予ができます。
介護される側の体調が突然悪化してしまうと葬儀の手続きにバタバタしてしまい、準備が間に合わないこともあるのです。
延命治療を行っている状態であれば、一定の猶予を設けられ、家族と相談することもできます。

延命治療のデメリット

延命治療のデメリットは本人とご家族の両方がつらいことです。

何より延命治療を受けている本人が一番つらく、苦痛に耐えながら生きなければなりません。
楽しみや快楽は一切なく、ただ生きている状態が続きます。
さらに最低限の栄養だけでの延命が続くため、身体は痩せこけて顔色も悪くなっていくでしょう。
そんな日に日に弱っていく姿を見ることは、ご家族にとっても非常につらいことです。

また延命治療には相当な費用がかかります。
治療をし続ければその分医療費がかかり続けるため、費用面でも負担となってしまう可能性があります。

延命治療の種類と費用

人工呼吸器

延命治療の一つ「人工呼吸器」は、呼吸ができなくなった際に人工呼吸器を用いて延命します。
人工呼吸器なしでは生きられず、人工呼吸器に依存する生活となるでしょう。
しかも人工呼吸器を用いる場合、コミュニケーションがほとんど取れない重度な状態だと考えられます。
意思疎通が取れないとなると、延命治療の継続の判断はご家族がしなければなりません。

人工呼吸器の費用は入院の日数によって変動し、医療保険を3割適用後の自己負担でも1日あたり8〜10万円ほどの入院費用がかかります。
ほかの病気が重なると費用はさらに上乗せとなるでしょう。

人工栄養法

人工栄養法は食べ飲みを行う能力「嚥下(えんげ)機能」が低下した場合に用いられます。
嚥下機能が低下すると口からの食事を行えなくなるため、点滴や胃ろうでの栄養摂取となるのです。
人工呼吸器同様、点滴や胃ろうなしでは生き延びられず、延命治療を続けるかの判断が必要になります。

入院費用は、75歳以上の高齢者であれば1割負担の44,400円となります。
他、チューブ交換費など月に数万円はかかるものの、人工呼吸器と比べ費用は大幅に抑えられるでしょう。

人工透析

年齢とともに肝臓の働きが悪くなり「尿毒症」を起こすリスクが高まります。
尿毒症とは、肝臓の機能低下により老廃物を排出できなかったり、水分の調節ができなくなったりする症状のことです。
その尿毒症を防ぐために人工透析を行います。
その人工透析を用いることで血液中の老廃物を取り除け、水分量の調節ができるのです。

人工透析の費用は1ヶ月の自己負担額が1万円、一定水準の年収を満たすと2万円になります。
あくまで最低額として覚えておきましょう。

延命治療を拒否できる「事前指示書」について


最後に延命治療を拒否できる「事前指示書」についてです。
患者の身体状況によっては意思表示ができない場合もあり、延命治療の有無を判断できません。
意思表示ができなくなる前に延命治療を必要とするかどうかを記入する用紙を「事前指示書」といいます。
また事前指示書は「リビング・ウィル」とも呼ばれます。
延命治療は本人の尊厳に関することなので、ご家族だけでなく本人の意志が重要です。
最近では介護施設の入居時、この事前指示書にあらかじめ記入してもらう施設が増えています。

ご家族の覚悟が必要になる

事前指示書を作成するにあたって、本人の覚悟が最も重要だと思われがちです。
しかし、この事前指示書は、本人よりもその家族の覚悟が必要だとも考えられています。
親の死を受け入れられないあまり、事前指示書を避けてしまうケースもあります。
本人の症状が悪化してからだと相談できないため、家族間での相談や覚悟を早めにしておく必要があるのです。
事前指示書は本人とご家族の意見を交えて作成しましょう。

まとめ|延命治療をするかしないかは家族間で話し合っておく


今回は、延命治療のメリット、拒否できる事前指示書について触れてきました。

延命治療は基本的にご家族だけでなく本人と相談して取り決めており、それが人間の尊厳を守ることで、本人のためにもなっています。

また、治療法には「人工呼吸器」「人工栄養法」「人工透析」の3つがあり、ご家族と長く過ごせるというメリットと、本人は苦痛を感じ続けなければならないというデメリットが存在しています。延命治療を受けるのであれば、その人に合った適切な治療法を選択しましょう。

延命治療は本当に難しい問題で、正解も間違いもありません。

しかし、本人の意思、家族の意思、様々な要素が関わってくる治療ですので、今はまだ大丈夫だと思っていても早いうちから家族と話し合っておくことも大切なのです。

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