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2021.01.26

誤嚥性肺炎のリスクになる嚥下障害(えんげしょうがい)とは?発症する3つの原因と予防策を解説

ご高齢になるにつれて起こる「嚥下障害(えんげしょうがい)」をご存知ですか?

嚥下障害とは食べ物や飲み物をうまく飲み込めなくなることです。
軽い症状だと思って放置すると危険な病気「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」になるリスクがあるのです。
誤嚥性肺炎とは、年間約4万人が死亡している、ご高齢者にとって身近な病気です。

安全に楽しい食事を摂るためにも、嚥下障害について詳しく知っておかなければなりません。

そのためこの記事では嚥下障害の症状、具体的な予防方法についてご紹介します。

嚥下障害(えんげしょうがい)とは|うまく食べ飲みができなくなる症状


嚥下障害とは、食べ物や飲み物をうまく飲み込めない症状のことです。

ほとんどの嚥下障害は単独で起こるわけではなく、別の病気の二次的要因として引き起こります。
例えば脳卒中やパーキンソン病による身体機能の低下などです。
初期症状としては食事を摂る際にむせこみが多くなり、進行するとうまく食べれないだけでなく吐き出す力も弱くなってしまいます。
症状を放置すると脱水症状や栄養失調など、様々な病気の原因となるので注意が必要です。

ちなみに嚥下障害の「嚥下(えんげ)」とは、口の中で咀嚼(そしゃく)した食べ物を飲み込むことです。

誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)の危険性

嚥下障害と誤嚥性肺炎には強い関係性があります。

食べ物が気管へ入り付着していた細菌によって引き起こる肺炎のことを「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」というのですが、これは嚥下障害から発症するケースがほとんどなのです。

嚥下障害になると飲み込む力が低下し、食事中のむせこみが多くなります。
そうなると食べ物が気管に入ってしまう可能性は高まり、肺へ流動し症状を招いてしまうのです。

70歳以上の肺炎の約7割が誤嚥性肺炎といわれるほど、ご高齢者にとっては身近な病気となります。
症状を早めに確認して、疑いがある場合は病院で診断してください。

誤嚥性肺炎についての詳細はこちらをご参考ください。
→「誤嚥性肺炎のリスクと原因、予防策を解説」

嚥下障害の症状|むせこみが多くなる

嚥下障害はご高齢になるにつれて徐々に症状が現れ始めます。その症状を見落とさないよう、食事中は意識するよう心がけましょう。

嚥下障害の初期症状は食事中のむせこみが多くなります。また食事ペースの低下も見られるでしょう。
症状が進行するとかたい物を噛み切れない、途中で食事をやめてしまうなどが発症します。
そのほか具体的な症状は下記の通りです。

■嚥下障害の具体的な症状

  • 食事中によくむせる
  • 水分でむせてしまう
  • 最後まで食べきれない
  • 食べることに疲れてしまう
  • 口内に食べ物を溜め込む
  • 口からこぼれてしまう
  • 柔らかいものを好むようになる
  • 食後の声が枯れる

嚥下障害の原因|器質的・機能的・心理的

嚥下障害の原因は大きく分けて3つあります。
原因を事前に知っておき、引き起こさないよう注意しましょう。

  1. 器質的原因
  2. 機能的原因
  3. 心理的原因

器質的原因

嚥下器官になにかしらの異常があると、嚥下障害を起こしやすくなります。
嚥下器官の異常といってもご高齢者になると些細なことで症状がでます。
例えば口の中に口内炎や舌炎があったりする場合です。また食べ物が通る食道に腫や炎症ができても起こりやすいでしょう。
そういった些細な異常でも嚥下能力の低下につながり、飲み込みが悪くなってしまうのです。

機能的原因

飲み込み動作に必要な筋肉や神経の機能低下は、嚥下障害の原因となります。
この機能的原因は、加齢が進むにつれて顎や頬の筋力が低下してしまうので、完全に避けるのは難しいです。
「脳卒中」や「パーキンソン病」でも同じような身体機能の低下を引き起こします。
また鎮痛剤など薬の副作用でも各器官に影響を与えることから、機能的原因に分類されます。

心理的原因

認知症やうつ病によるもので気分の低下から起こるのが心理的原因になります。
認知機能が低下すると精神的な負荷へ変わり、食事に対してのモチベーションがなくなります。
食事を摂ること自体に気怠さを感じてしまい、嚥下障害につながってしまうのです。
この心理的原因は適切でない食事介助からも起こります。

認知症の症状についてはこちらを参考ください。
→『認知症の代表的な症状を詳しく解説』

嚥下障害の具体的な治療方法


嚥下障害の治療方法には以下の2つがあります。

  1. リハビリ
  2. 手術

リハビリ

嚥下障害の最初の治療方法としてリハビリが良いでしょう。
代表的なリハビリは、食事を摂る際にリラックスしていただくリラクゼーションです。
身体に力が入っていると嚥下障害になりやすいため、ストレッチや深呼吸をして全身の力を抜きます。
毎食リラクゼーションを行うことで誤嚥の防止となり、改善されることがあるのです。

また、大きな声での発声訓練は嚥下能力の向上に期待できます。
食事前の早口言葉やパタカラ口腔体操を用いて、口全体の筋肉を活動的にさせましょう。

手術

嚥下障害が悪化しているとリハビリを行ってもほとんど効果を得られません。
そんな状態の場合は手術が必要になります。
食道と気道を分離させ誤嚥を防止する嚥下防止術があり、嚥下障害を改善できるのです。
しかしこの手術には、声を出せなくなるといったリスクも持ち合わせているため、手術するかどうかは慎重に判断しなければいけません。

やっておくべき嚥下障害3つの予防方法

最後に、嚥下障害の予防方法をご紹介します。

  1. 適切な食事形態を提供する
  2. 口腔ケアを徹底する
  3. 適切な食事介助を行う

適切な食事形態を提供する

その人に合った適切な食事形態を提供することで嚥下障害を予防できるでしょう。
人それぞれ口内状況や嚥下能力は異なります。
その人に適した食事形態でないとむせこみや誤嚥が起きて、嚥下障害が悪化してしまうのです。
そのならないためにも適切な食事形態を提供します。
例えば食べやすいよう事前に刻んで提供したり、水分にとろみを足したりなど、食事形態を合わせましょう。
むせこみが減って喉を通りやすくなるため、嚥下障害の予防に繋がるのです。

関連記事【最適な食事形態の選び方!嚥下能力に合わせた食事形態を徹底解説

口腔ケアを徹底する

口腔ケアを徹底することで嚥下障害の予防となります。
なぜなら口内の炎症や歯周病を予防できるためです。

ご高齢になると唾液の分泌作用が低下し口内が乾きやすくなります。
口内が乾燥すると細菌の繁殖が活発となるため、その状態で食事を摂ると細菌が嚥下器官を刺激して炎症を起こしやすくなるのです。
また繁殖した細菌が肺に入ると誤嚥性肺炎になるリスクが高まります。
それら炎症を防ぐためにも、食事前後に口腔ケアを徹底しましょう。

適切な食事介助を行う

嚥下障害の予防には適切な食事介助が必要となります。
介助のやり方を少し変えるだけで、嚥下障害のリスクを減らせるためです。
食事介助のスピードが早すぎる、食事の体勢が適切ではないなど、食事介助が嚥下障害の原因を招いているケースもあります。
食事介助のやり方を見直せば嚥下障害を予防できるはずです。

食事介助についてはこちらを参考ください。
→『食事介助の安全なやり方とは?食事前の3つの準備と正しい手順』

まとめ|今日から嚥下障害を予防しよう


ここまで、嚥下障害の症状や誤嚥性肺炎の危険性、具体的な予防方法について説明いたしました。
嚥下障害とは食べ物や飲み物をうまく飲み込めない症状のことで、頬の筋肉や認知機能の低下など様々な原因から引き起こります。
治療方法は症状の度合いによって変わり、リハビリと手術の2つがあるため適切な方法を模索しましょう。

ご高齢になればなるほど嚥下障害のリスクは高まり、脱水症状や誤嚥性肺炎などの危険性を孕んでいます。
そのため嚥下障害を軽い病気だと油断せず、早めの予防を心がけておきましょう。
具体的な予防方法を知るためにもぜひ本記事を参考にしてみてください。

関連記事 【はじめての人へ】食事介助の安全なやり方とは?食事前の3つの準備と正しい手順

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