介護保険サービスを受けたいと思っているものの、要介護認定について詳しく知らない方は多いのではないでしょうか。
それもそのはず、要介護認定と介護保険の関係性は複雑でわかりにくくなっているのです。
そんな要介護認定の疑問にお応えしていきます。
結論、介護保険サービスを利用するためには、『介護保険証』と『要介護認定』の2点が必要となるのです。
介護保険との関係性を知っておかないと最悪の場合、全額自己負担になりかねませんので注意してください。
この記事では、要介護認定の検査基準・申請方法と流れについて説明してまいります。
要介護認定について正しい知識を理解し、お近くの自治体へスムーズな申請を行いましょう。
もくじ
要介護認定とは|適切な介護サービスを受けるための証明
要介護認定とは、どの程度の介護が不可欠なのか測定し、適切な介護サービスを受けるための証明のことです。
その要介護認定では、『要支援1〜2』『要介護1〜5』の介護を必要とする7段階と、介護を必要としない『自立(該当なし)』の合計8段階に分類されます。
どの段階なのかによって介護保険の適用限度額が定められるのと同時に、要介護認定が介護サービスを利用する際の判断基準となるのです。
また、要介護認定をされなかった自立に関しては、基本的に介護保険は適用されませんので注意してください。
ちなみに、平成31年1月までの要介護(要支援)認定された人数は合計656万人で、内訳は男性が206万人・女性が450万人となっています。
参照:介護保険事業状況報告の概要|厚生労働省
介護保険証だけでは保険適用外
65歳になればお近くの市区町村から介護保険証を送付してもらえますが、その介護保険証だけでは介護保険を適用できません。
介護保険を適用させるには、介護保険証と要介護認定証の2点が必要となります。
また、65歳以上でなくとも40〜64歳の特定疾病を患っている方に関しては、第2号被保険者に認定されて介護保険サービスを利用できます。
いずれにしても要介護認定をしなければなりません。
介護保険制度について詳しく知りたい方はこちらを参考ください。
→『みんなで支える介護保険とは?注意点やメリットを解説』
要介護認定の検査基準|1次判定と2次判定
要介護認定の検査判定は、「1次判定」と「2次判定」の2ステップで行われます。
1次判定は各自治体の担当者による聞き取り調査と、主治医意見書を基準にしたコンピューターからの算出を経て、要介護認定が8段階に分類されるのです。
2次判定では、介護認定審査会が1次判定の結果を参考に要介護度の判別を行います。
要介護認定の検査基準は下記の通りです。
- 身体機能・起居機能
- 生活機能
- 認知機能
- 精神・行動障害
- 社会性への機能
- 過去14日間で受けた特別な治療
それぞれの項目に照らし合わせて要介護認定の検査判定が行われます。
要介護認定の種類と症状|自立・要支援1〜2・要介護1〜5
要介護認定の種類は、介護を必要としない自立、日常生活においての援助が必要な要支援1〜2、本格的な介護を必要とする要介護1〜5、この8段階に分けられます。
ちなみに、要支援や要介護の数字が大きくなればなるほど介護を必要とします。
- 自立
- 要支援1〜2
- 要介護1〜5
自立
自立の状態であれば、基本的に介護がなくとも安定した生活を送れます。
本人の意識や行動はしっかりしており、認知症もほとんど見られません。
要支援1〜2
要支援は日常生活のほとんどをご自身のみで送れる状態のことです。要支援1・2があり、要支援2のほうが介護を必要とします。
- 要支援1
- 要支援2
それぞれ説明します。
要支援1
要支援1は、ほぼすべての日常生活を安定して送れる状態のことです。
とはいえ、一部介助を必要とすることもあります。例えば、入浴自体は行えるものの浴槽の掃除はできないなどです。
要支援2
要支援2には、要支援1と比べて運動機能の低下がみられます。
ご自身のみで日常生活を送れはしますが、立ち上がりに時間がかかったり、歩行に若干のふらつきが見られたりします。
要介護1〜5
日常生活をご自身のみでほとんど送れる要支援と比べて、要介護では重度の症状も見られます。
要介護は1〜5の5段階に分類され、数字が大きくなるにつれて介護を必要とします。
- 要介護1
- 要介護2
- 要介護3
- 要介護4
- 要介護5
順番に見ていきましょう。
要介護1
要介護1は立ち上がりや歩行に難が見られ、なおかつ日常生活に一部介助を必要とする状態のことです。
重たい荷物を移動できない、杖がないとつまずいてしまうなどが見られます。
要介護2
要介護2は自身のみでの歩行が難しく、日常生活のほとんどで介護を必要とする状態のことです。
歩行器を用いての移動でもふらつきが見られます。
要介護3
要介護3になると自身のみでは立ち上がることができず、日常生活すべてにおいて介助を必要とします。
誰かの手を借りなければベッドからの移動は行えないほか、認知症の対応もしなければなりません。
要介護4
要介護4では立つことや歩行することができません。また、車椅子の移動も自身だけでは難しいでしょう。
介助なしで生活を送ることは困難であり、認知症の悪化により意思疎通も難しくなります。
要介護5
要介護5は、寝たきりの状態で会話も困難な状態のことです。
食事や排泄の意識がなくなり、生活すべてに介助を必要とします。
要介護認定の申請方法と流れ|介護保険担当窓口での受付
要介護認定の申請は、市区町村にある近くの『介護保険担当窓口』で受付となります。
市区町村や自治体によって受付窓口の名称が違うため、詳しくは各保険窓口に確認しましょう。
また、基本的に本人かご家族のみの申請が有効です。
申請に必要なもの
要介護認定の申請には印鑑や必要書類があります。事前準備を要するものもあるので確認しておきましょう。
申請に必要なものは下記の通りです。
- 印鑑
- 介護保険要介護認定申請書
- 主治医の意見書
- 介護保険費保険証(65歳以上の場合)
- 健康保険被保険者証(40〜64歳の場合)
40〜64歳と65歳以上の方では必要書類に違いがあるので注意してください。
『介護保険要介護認定申請書』は各介護保険担当窓口かWebサイトから発行できます。
主治医の意見書に関しては、主治医の氏名と病院名、連絡先などを提出すれば介護保険担当窓口が主治医の意見書を依頼します。
もし主治医がいない場合、事前に医師のもとで診断を受けなければなりません。
なお、申請の流れはこのようになっております。
- 各種必要書類を提出する
- 訪問調査の日程を決める
- 1次判定が行われる
- 2次判定が行われる
- 認定結果が通知される
不明点がある方は、お近くの介護保険担当窓口から問い合わせするのを推奨します。
要介護認定の結果通知|申請から1ヶ月以内に送付
最後に要介護認定の結果通知についてお話します。
要介護認定の結果通知は、申請から1ヶ月以内に各自治体から送付されます。
認定区分は自立(該当なし)、要支援1〜2、要介護1〜5の合計8段階です。
結果通知が1ヶ月以内に届かなかったり不明点があったりする場合、各自治体へ確認の連絡をしましょう。
認定結果に納得できない場合
認定結果に納得できない場合もあるかと思います。
納得できない場合は、各都道府県にある「介護保険審査会」に申し立てができます。
もしくは、各自治体へ区分変更申請をすることもできるので、納得できない方はいずれかの方法で問い合わせてみてください。
介護保険審査会へ不服の申立てを行う場合、要介護認定を受け取った60日以内にしなければなりません。
区分変更申請に関しては常時申請が可能で、結果は同じく1ヶ月以内に通知されます。
とはいえ、再申請したからといって、希望の区分に必ずなるわけではないので注意してください。
要介護認定の有効期限
要介護認定を新規で受け取った場合の有効期限は6ヶ月です。
この有効期限には例外もあり、各自治体が必要だと判断すれば最大で12ヶ月の有効期限に延長できます。
また、更新後の有効期限は新規とは異なります。
更新後は要支援、要介護どちらも原則として12ヶ月ですが、こちらも各自治体の判断によっては月単位で変更可能になることもあるのです。
まとめ|さっそく要介護認定を申請しよう
ここまで、要介護認定の検査基準・申請方法や流れについて紹介してまいりました。
要介護認定とは、介護がどれくらい不可欠なのかを測定し、適切な介護サービスを受けるための証明のことです。
検査判定は、「1次判定」と「2次判定」の2ステップで行われ、要支援1〜2と要介護1〜5、自立の合計8段階に分類され、申請場所についてはお近くの市区町村にある『介護保険担当窓口』になります。
よくある勘違いとして、介護保険証のみで介護保険制度が適用されると思われがちですが、
介護保険制度を適用させるには、要介護認定もあわせて申請しなければいけません。
申請方法を間違えてしまうと後々トラブルとなりかねませんので、本記事を参考にしてから各自治体へ申請をしてください。
また、簡易的ではあるものの、ウェブ上で要介護認定の一次シミュレーションを行うことができます。
『要介護認定一次シミュレーション』から要介護度を測定可能です。
ただ結果はあくまで目安ですので、詳しく診断したい方は各自治体へ申請をしてください。