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2021.01.29

最適な食事形態の選び方とは | 嚥下能力に合わせた食事形態を解説

ご高齢者にとって、食事はとても楽しみな時間であり、身体機能にも大きく影響を及ぼす大切な行為です。
しかし年齢とともに口内の筋肉や飲み込む力が低下してしまい、上手く食事を摂るのが困難になります。
そのままの状態だと誤嚥障害や誤嚥性肺炎といった、あらゆる病気を患ってしまうでしょう。

そこで重要となるのが「食事形態」です。

その人に合った適切な食事を提供することで、それら危険性を予防・改善できるのです。
今回は、食事形態の種類、嚥下能力に合わせた最適な選び方について紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

高齢者の食事形態について


ご高齢者にとって食事はとても楽しみな時間であり、大切な行為です。
ですが高齢になればなるほど口の中で咀嚼(そしゃく)する力や飲み込む力が弱まっていきます。
噛み砕く力や飲み込む力が低下することを嚥下障害といい、窒息や誤嚥性肺炎などのリスクが高まるのです。

それらの危険性を予防するためにも、その人に合わせた食事形態を提供しなければいけません。
食事形態はその人の体調や嚥下能力など様々な要素で決まります。
その人にとって一番適切な食事形態を提案してあげることが大切です。

4種類の食事形態

栄養や美味しさは食事を摂る上でとても大事な要素ですが、食べやすさはさらに大切です。
食べやすさを向上させるためには適した食事形態に変更しなければなりません。
食事形態は人によって様々で、健康的な人が食べるものと同じタイプの「常食」、常食を細かくきざんだ「きざみ食」
食材を柔らかくして形成し直した「ソフト食」、ミキサーにかけてペースト状にした「ミキサー食」の4種類があります。

食事形態の種類と特徴

常食

常食とは、健康な人が一般的に食べているような食事形態のことです。
主食、副菜、汁物といったバランスの良い食事で細かく刻まないでそのまま提供します。
主食はごはんだけでなくうどんやそばなどの麺類、パンやサンドイッチといった小麦類も含まれます。
健康状態かつ嚥下能力の高い方であれば、美味しく食べられるこの常食にしましょう。

きざみ食

常食と同じ料理を細かく刻んだ食事のことをきざみ食といいます。
細かくきざんだ分、噛み砕く手間はなくなりますが、飲み込みづらくなる為、とろみを付けて提供するのが一般的です。
また歯と歯の間に挟まりやすく虫歯の原因となりますので、食事後の口腔ケアを忘れずに行いましょう。

飲み込む力はあるものの細かく噛み砕くのが苦手な方に、きざみ食は最適です。
このきざみ食は常食とあまり変わらず美味しく召し上がれるため、食事形態を変更してもあまり問題ないでしょう。

ソフト食

ソフト食とは、食材を柔らかくしたあとに形成し直した食事のことです。
食材を柔らかくする手段は長時間煮込むだけでなく、ミキサーで細かくすることもあります。
舌で押しつぶせるくらいの硬さがあり、とても飲み込みやすい食事形態です。
噛み砕く必要がないので嚥下能力の低い方におすすめします。
しかしながら、今までの食事と食感が非常に違う為、戸惑う方もいらっしゃいます。

ミキサー食

主食、副菜、汁物など、それぞれをミキサーにかけてペースト状にした食事のことをミキサー食といいます。
ペースト状のままだと飲み込みづらいことから、とろみをつけて誤嚥を防ぎます。
他の食事形態と比べ、見た目や味が目まぐるしく変化するため、食が進みづらくなる方もいるでしょう。
しかし、噛まずに飲み込めるメリットがあり、嚥下障害を患っている方でも安心して食事が行えます。

どうやって適切な食事形態を選べば良いのか


食事形態は、間違ったやり方を続けていると逆に嚥下能力の低下を招いてしまい、誤嚥のリスクが高まってしまう為、その人に合った適切なものを選ぶ必要があります。
しかし、人それぞれ口内状況や嚥下状態が違うため、自分達で食事形態の判断をするのは不安に感じてしまう方も多いと思います。

もしご家族の食事形態で迷ったならケアマネジャーに相談してみてください。
ケアマネジャーとは、介護に関する相談や介護サービスの提案をしてくれる専門職種のことです。
「介護支援専門員」という正式な資格保持者であるため信頼性は高いです。
ケアマネジャーに相談することで、最適な食事形態へ近づくことができ、不安も解消できます。

ケアマネジャーへの相談が難しい場合は、実際に食事形態を1つずつ試していく方法があります。
本人に食べていただいたときの反応を見れば、これがちょうど良いという判断もできます。
ただし、食事形態は非常に重要な要素なので、慎重に判断するようにしましょう。

食事形態を変えるときの注意点2つ

楽だからという理由で変えない

食事形態は介護をする側が楽だからという理由で変えてはいけません。
食事形態をソフト食やミキサー食にすることで飲み込みやすくなり、食事介助をする手間が減って早く終わらせられるでしょう。
しかし介護される側がその食事形態に慣れてしまうと、噛み砕く力や飲み込む力全体の低下へとつながってしまうのです。
食事形態を変えることで介護が楽になるのは事実です。しかし嚥下能力の低下を招いてしまうため、食事形態は慎重に判断しましょう。

美味しく食べられるよう工夫する

食事形態を変える際は美味しく食べられるよう工夫してあげてください。
常食からきざみ食に変えるだけならそこまで大きく変わりません。
一方できざみ食からソフト食・ミキサー食に変更となると、今まで摂っていた食事とは大きく異なります。
食事形態を変えたことで以前より食が進まず、栄養失調になるリスクも孕んでいます。
そのため食事形態を変える際は本人が美味しく食べれられる工夫をしてください。

食事介助の正しいやり方|3つのポイント

適切な姿勢をとる

食事介助を行うときは、嚥下に対して大きく影響を与えるため、適切な姿勢が大切になります。
例えば、横になった状態のまま食事をすると上手く飲み込めません。
一方、上体を起こした姿勢であれば、重力の影響を受けて嚥下がスムーズになります。
このように姿勢を変えるだけで誤嚥のリスクを大幅に減らせるため、食事は適切な姿勢で行いましょう。

食事前に嚥下体操を行う

食事前には嚥下体操を行うと、より安心して食事を行う事ができます。
嚥下体操とは、舌を動かしたり発音の練習をしたりする口腔体操のことで、食事前に行う事で口内の唾液分泌量が増え、頬や喉の筋肉が活発になります。
さらには食べこぼしの防止につながるだけでなく、嚥下能力を向上させられるのです。
嚥下障害の予防にもなるため食事前は嚥下体操を行うことを習慣にしてください。

立ったまま食事介助を行わない

介護をする側は立ったまま食事介助を行ってはいけません。
立った状態で食事介助をすると、介護される側の目線がどうしても上に向いてしまいます。
目線が上に向くと、顎も一緒に上を向いて、食べ物を飲み込みづらくなるのです。
食べ物は喉を通りづらい、誤嚥のリスクが高まるなど、立って食事介助をすると様々なリスクがともないます。
また威圧感を与えて食事が嫌になってしまう可能性もあるので、必ず同じ目線で食事介助をしましょう。

食事介助について詳しくはこちらを参考ください。
『【はじめての人へ】安全な食事介助のやり方』

まとめ|最適な食事形態の選び方!嚥下能力に合わせた食事形態を徹底解説

今回は、食事形態の種類、嚥下能力に合わせた最適な選び方についてご紹介しました。
食事形態は大きく分けて常食・きざみ食・ソフト食・ミキサー食の4種類があります。
それぞれの食事形態に大きな違いや特徴があり、その人に合ったものを選択しなければいけません。
また介護する側が楽だからといって食事形態を変えてしまうと、嚥下能力の低下を招いてしまうため注意が必要です。

高齢になればなるほど飲み込む力が弱まっていき、食事選びが難しくなりますが、
命にもかかわることなので、その人に合った適切な食事形態を見つけてください。
ご自身で判断できない場合は無理をせず、まずはケアマネジャーへ相談しましょう。

関連記事 食事介助の安全なやり方とは?食事前の3つの準備と正しい手順

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