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2026.10.19

介護施設の災害対策とは?地震・水害・停電への備えと家族が確認したいポイント

大きな地震や台風、大雨のニュースを見て「介護施設で暮らす親は、災害が起きても大丈夫だろうか」と心配になることも少なくありませんよね。介護施設には、自力で避難することが難しい方や、日常的に医療・介護のサポートが必要な方も暮らしています。
そのため、一般家庭とは異なる災害対策が求められます。

実際に、介護施設では災害時の避難や安全確保に加え、被災後も介護サービスを続けるための備えが進められています。

この記事では、介護施設の災害対策の基本から、地震・水害・停電への具体的な備え、家族が施設選びで確認しておきたいポイントまで解説します。

介護施設の災害対策はなぜ重要?

介護施設の災害対策で大切なのは、入居者の命を守ることだけではありません。
災害が発生した後も、できる限り安全な生活環境を維持する必要があります。

高齢者は避難や環境の変化に対応しにくい

介護施設には、車いすを使用している方や歩行に介助が必要な方、認知症によって状況の理解が難しい方など、さまざまな入居者がいます。例えば、地震でエレベーターが停止した場合、上階からの移動が難しくなることがあります。また、避難先で慣れない環境に置かれると、認知症の方が混乱したり、体調を崩したりする可能性があります。

こうした事情から、入居者一人一人の身体状況や必要な介助を踏まえた避難方法を準備しておくことが重要です。

災害後も介護を続けるための備えが必要

災害では、建物に大きな被害がなくても、停電や断水、物流の停止などによって日常生活に支障が生じる場合があります。例えば、断水するとトイレや入浴が難しくなり、停電によって空調設備が使えなくなることもあるでしょう。特に、食事介助や排せつ介助、服薬管理などの支援は、災害時にも必要です。

そのため、施設には非案への備えだけでなく、限られた設備や職員でも必要なケアを継続できる体制づくりが求められます。

介護施設ではどのような災害対策が行われている?

介護施設では、災害の種類に応じて建物や設備を整備し、避難方法や職員の役割を決めるなどの対策が行われています。具体的にどのような備えが必要なのか、地震・水害・停電に分けて見ていきましょう。

地震対策|建物の安全確保と避難経路の整備

地震に備えるうえで基本となるのが、建物の耐震性や室内の安全対策です。

介護施設では、建物の状況に応じて家具や設備の転倒防止、避難経路の確保などに取り組みます。
ベッドの周囲に倒れやすい家具がないか、車いすでも安全に移動できるかといった点も重要です。

また、地震発生直後に慌てて建物の外へ出ることが、必ずしも安全とは限りません。
建物の被害状況や火災の有無などを確認し、施設内にとどまるのか、別の場所へ避難するのかを判断する必要があります。

入居者が安全に移動できるよう、日ごろから避難経路や誘導方法を確認しておくことが大切です。

水害対策|浸水リスクの確認と早めの避難判断

大雨や台風による水害では、施設の立地によって必要な対策が変わります。

河川の氾濫や土砂災害の恐れがある地域では、自治体のハザードマップを使って危険性を確認し、避難先や移動方法を検討します。高齢者の避難には時間がかかることも多いため、雨が強くなってから行動するのではなく、気象情報などを踏まえて早めに判断することが重要です。

国土交通省は、浸水想定区域や土砂災害警戒区域にあり、市町村地域防災計画に位置付けられた要配慮者利用施設に対して、避難確保計画の作成や避難訓練の実施を義務付けています。

家族としても、施設が浸水想定区域にあるかどうかだけでなく、浸水が予想される場合に、どこへ、どのように避難するのかを確認しておくとよいでしょう。

停電・断水対策|電源・水・生活用品の確保

停電や断水が長引くと、介護施設での生活にも大きな影響が出ます。
特に停電時は、照明やエレベーター、空調設備に加え、電力を必要とする医療機器の使用にも注意が必要です。

非常用発電設備を備えている施設であっても、すべての設備を通常どおり使えるとは限りません。
どの設備に電力を供給できるのか、燃料をどの程度確保しているのかによって対応が異なります。

断水への備えとしては、飲料水だけでなく、生活用水や簡易トイレ、衛生用品などの確保も重要です。
厚生労働省も、介護施設の防災・減災対策として、非常用自家発電設備や給水設備、水害対策に必要な改修などを支援しています。

介護施設の災害対策にはBCPの策定も必要

介護施設の防災体制を知るうえで、押さえておきたいのが「BCP(業務継続計画)」です。
BCPとは、災害や感染症などが発生した際に、重要な業務を継続したり、早期に再開したりするための計画を指します。

介護サービス事業者では、2024年4月から原則としてBCPの策定や研修・訓練などが義務化されています。

BCPでは災害発生後の介護体制まで考える

介護施設のBCPでは、災害発生直後の安全確保だけでなく、その後のサービス継続についても検討します。
例えば、職員が出勤できなくなった場合の人員配置や、物資が不足した際の対応、外部の医療機関・介護事業者との連携などです。

ここで重要なのは、計画を作成すること自体が目的ではないという点です。
厚生労働省も、介護施設向けにBCPの作成や机上訓練に関する研修資料を公開しており、災害を想定した訓練や計画の見直しを促しています。

家族が施設の防災体制を確認するときも「BCPがありますか」と質問するだけでなく「災害時にはどのような対応を予定していますか」と具体的に聞いてみるとよいでしょう。

夜間や職員が少ない時間帯への備えも必要

介護施設では、昼間と夜間で勤務している職員数が異なります。
そのため、日中に十分な人数で避難訓練を行っていても、夜間に同じ対応ができるとは限りません。

特に、移動に介助が必要な入居者が多い施設では、限られた人数でどのように安全を確保するのかが重要になります。夜間を想定した訓練や、近隣施設との協力体制があるのかどうかも、防災対策を確認する際のポイントです。

災害が発生した時、入居者の家族はどうすればよい?

介護施設に家族が入居している場合、災害発生時には安否が気になり、すぐに駆け付けたくなるかもしれません。しかし、道路の通行止めや交通機関の停止などが発生している状況では、無理な移動が危険につながる可能性があります。

まずは自分自身の安全を確保し、施設が案内している連絡方法に従って状況を確認することが大切です。

安否確認の方法を事前に把握しておく

災害時は電話がつながりにくくなることも考えられます。
そのため、普段利用している電話以外に、メールや施設の連絡システムなど、どのような情報伝達手段があるのかを確認しておきましょう。

また、施設からの連絡を受ける家族の代表者を決めておくことも一つの方法です。
親族間で情報を共有できるようにしておけば、施設への問い合わせが重複することも避けやすくなります。

持病や服薬に関する情報を整理しておく

持病がある方や日常的に薬を服薬している方については、災害時にも必要な医療情報を確認できるようにしておくことが大切です。例えば、服用している薬の名前、かかりつけ医、アレルギーの有無などです。

こうした情報は通常、施設側でも管理されていますが、家族も最新の内容を把握しておくと、別の医療機関を受診する際などに役立ちます。必要に応じて、薬の情報が変更されたときの共有方法も施設と相談しておきましょう。

災害対策が整った介護施設を選ぶためのチェックポイント

これから介護施設を探す方にとって、防災体制は施設選びの判断材料の一つです。

ただし、設備が充実している施設でも、すべての災害を完全に防げるわけではありません。
大切なのは、想定されるリスクを理解し、具体的な対応方法を準備しているかどうかです。

施設見学では5つのポイントを確認しよう

□ 施設の立地と建物の安全性
ハザードマップ上の浸水リスクや建物の耐震性を確認する

□ 避難訓練の実施状況
訓練の頻度だけでなく、夜間や要介護度の高い方を想定しているか聞く

□ 停電・断水への備え
非常用電源で使用できる設備や、水・食料・衛生用品の備蓄状況を確認する

□ 災害時の連絡方法
安否確認や避難先の情報を家族へどのように知らせるのか確かめる

□ 避難後の生活を支える体制
医療機関や他施設との連携、介護サービス継続の方法を聞く

すべての項目について詳しい説明が受けられなくても、質問に対して丁寧に答えてくれるかどうかは、施設の姿勢を知る手がかりになります。また、施設の立地によって災害リスクは異なるため、複数の施設を比較する際には、同じ基準だけで判断しないことも大切です。

本人の状態に合った避難方法があるかも大切

災害対策を考える際に見落としやすいのが、入居者本人の状態との相性です。

例えば、歩行が難しい方と自力で移動できる方では、避難時に必要な支援が異なります。
また、認知症の方の場合、突然の環境変化に配慮した声かけや誘導が必要になることもあるでしょう。

そのため、施設全体の防災体制だけでなく「本人の身体状況であれば、災害時にどのような支援が受けられますか」と質問することをお勧めします。一般的な防災設備の説明だけでは見えてこない、具体的な対応を確認するきっかけになります。

まとめ|介護施設の災害対策は日頃の備えと家族の確認が大切

介護施設の災害対策には、地震や水害への備えに加え、停電・断水時の生活支援や介護サービスを継続するための体制づくりが含まれます。

災害時の安全性は、建物の設備だけで決まるものではありません。
職員の対応力や避難訓練、外部機関との連携など、さまざまな取り組みが関係しています。
家族としても、施設にすべてお任せするのではなく、連絡方法や本人に必要な支援を事前に共有しておくと安心につながります。

これから介護施設への入居を検討している方は、費用や立地、日常のサービスに加えて、災害時の対応にも目を向けてみてはいかがでしょうか。