「老人ホームに入ることになったら、今飼っている犬や猫はどうすればいいのだろう」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか?
長年一緒に暮らしてきたペットは大切な家族の一員です。介護が必要になっても、できる限り離れずに暮らしたいと考えるのは自然なことでしょう。
実際に、ペットを飼える老人ホームや高齢者向け住宅は存在します。
ただし、すべての施設で認められているわけではなく、飼育できる動物の種類や大きさ、世話の方法などには条件があります。
この記事では、ペットと一緒に入居できる老人ホームの特徴や費用、施設選びのポイントを解説します。
入居後に飼育を続けることが難しくなった場合の対応についても確認していきましょう。
老人ホームでペットは飼える?

老人ホームの中には、犬や猫などのペットと一緒に入居できる施設があります。
しかし、一般的な老人ホームでは衛生管理や安全面、ほかの入居者への配慮などから、ペットの飼育を制限している場合もあります。
その一方、ペットとの暮らしを大切にする高齢者のニーズに対応して飼育を認めている施設もあります。
居室で一緒に生活できるところや、敷地内に散歩できるスペースを設けているところなど、その環境はさまざまです。
ここで注意したいのが “「ペット可」と書かれていても、必ずしも現在飼っているペットと入居できるとは限らない” ことです。
施設によっては小型犬のみ認めていたり、猫の飼育に制限があったりします。
また、施設で飼育している動物とのふれあいは可能でも、入居者が自分のペットを連れてくることは認めていないケースもあります。
ペットと暮らせる老人ホームを探す際は、飼育可能という表示だけで判断せず、同伴入居ができるかどうかまで確認することが大切です。
ペットが飼える老人ホーム・高齢者向け住宅の特徴
老人ホームには複数の種類があり、提供される介護サービスや生活環境が異なります。
ペットの飼育についても、施設の種類だけで判断することはできません。
介護付き有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームは、介護サービスを受けながら生活できる施設です。
食事や入浴、排せつなどの介助が必要な方にとって日常的な支援を受けられる点が特徴です。
ペットの同伴入居を認めている施設もありますが、数は限られています。
また、介護スタッフが配置されていても、ペットの散歩や食事の世話まで担当してくれるとは限りません。
介護サービスの内容とペットの対応は別に確認する必要があります。
住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームは、食事の提供や生活支援などを受けながら暮らせる施設です。
介護が必要となった場合は、訪問介護などの外部サービスを利用するのが基本です。
施設ごとに生活ルールが異なるため、ペットの飼育を認めているところもあります。
ただし、飼育できる居室が限定されている場合や、家族による世話の協力が求められる場合もあります。
介護が必要になった後も住み続けられるかを含め、施設の対応方針を確認しておきましょう。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
サービス付き高齢者向け住宅は、主に自立した生活が可能な高齢者や、比較的介護度の低い方などを対象とする住まいです。
バリアフリー構造に加え、安否確認や生活相談のサービスが提供されます。
一般的な賃貸住宅に近い生活ができる施設もあり、ペットの飼育を認めている物件があります。
ただし、サ高住だからといって自由にペットを飼えるわけでありません。
さらに、介護サービスの提供体制は住宅によって異なるため、将来の介護への備えも必要です。
老人ホームでペットを飼うための条件とは?

ペット同伴で入居できる老人ホームでも、共同生活を送るうえで一定のルールが設けられています。
犬や猫の種類・大きさ・頭数に制限がある
ペットの種類や体格、飼育頭数については、施設ごとに条件が異なります。
例えば、小型犬1匹までとする施設もあれば、猫の飼育や複数匹での入居を相談できる施設もあります。
大型犬については、居室の広さや安全管理などの理由から、受け入れが難しい場合があります。
また、犬の場合は狂犬病予防注射や登録、混合ワクチンの接種状況などを確認されることがあります。
ペットの基本的なしつけが必要になる
共同生活では、ほかの入居者への配慮も欠かせません。
犬の無駄吠えや飛びつき、トイレの失敗などが頻繁に起こると、周囲とのトラブルにつながる可能性があります。
また、動物が苦手な方やアレルギーを持つ方が生活している場合もあります。
そのため、ペットを飼える老人ホームでは、共用スペースへの立ち入りや移動時の抱っこ、リードの使用などについてルールが定められていることがあります。
飼い主自身が世話をすることが基本
特に確認しておきたいのが、ペットの世話を誰が担当するかという点です。
ペット可の老人ホームでも、食事の準備やトイレ掃除、散歩、通院などは原則として飼い主が行う施設が一般的です。
介護スタッフは入居者の生活を支援する立場であり、ペットの飼育管理が通常の介護サービスに含まれるわけではありません。
入居前には、家族や外部サービスによるサポートが利用できるかも確認しておくと安心です。
ペットと入居する場合に必要な費用

ペットが飼える老人ホームでは、通常の入居費用に加えて、飼育に関する費用が発生する場合があります。
具体的には、次のような費用が考えられます。
- 追加の敷金・保証金:ペットによる汚れや傷などに備えるための費用
- 飼育に関する月額費用:施設によって設定される管理費や追加料金
- ペットの生活費:フード、トイレ用品、トリミングなどの費用
- 医療費:動物病院の診察、予防接種、治療などの費用
- 外部サービス費:散歩代行やペットシッターなどを利用する場合の費用
すべての施設で追加料金が発生するわけではありませんが、ペットの飼育に必要な支出は継続します。
また、退去時に居室の修繕や特別な清掃が必要になった場合、契約内容に応じて費用負担が生じることもあります。
飼い主がペットの世話をできなくなったらどうする?
ペットと一緒に老人ホームへ入居する際、見落としやすいのが将来の飼育についてです。
入居時は問題なく世話ができていても、身体機能低下や入院、認知症の進行などによって、これまで通りの飼育が難しくなる可能性があります。
介護度が上がっても飼育を続けられるとは限らない
例えば、入居時には毎日犬の散歩に出かけられていても、車いすでの生活になれば一人で散歩をすることが難しくなるかもしれません。
猫の場合も、トイレ掃除やフードの管理などを継続できなくなる可能性があります。
施設によっては家族の協力や外部サービスの利用によって飼育を続けられる場合がありますが、対応できる範囲には限界があります。
そのため、入居時にペットを飼えるかだけでなく、介護度が上がっても一緒に暮らせるかを確認しておく必要があります。
入院や死亡などに備えて引き取り先を考えておく
飼い主が長期間入院したり、亡くなったりした場合、ペットを誰が引き取るのかという問題もあります。
施設がそのままペットを飼育してくれるとは限らないため、事前に家族や親族などと相談しておくことが大切です。
引き取りが難しい場合には、動物保護団体やペットの終生飼養サービスなどについて情報を集めておく方法もあります。
ただし、受け入れには条件や費用があり、必ず利用できるとは限りません。
ペットのためにも、緊急時の連絡先や預け先をあらかじめ決めておくとよいでしょう。
ペットと暮らせる老人ホームを選ぶときのチェックポイント

ペットと一緒に入居できる施設が見つかったら、実際の生活を想像しながら比較することが大切です。
ペットが安心して過ごせる環境か
室内で飼育できるとしても、動物にとって快適な環境とは限りません。
犬の場合は散歩に出かけやすい動線や周辺環境、猫の場合は落ち着いて過ごせる場所や脱走防止対策などを確認しましょう。
また、鳴き声が周囲に響きやすい構造ではないか、室温を適切に管理できるかといった点も重要です。
施設見学では入居者本人の生活環境だけでなく、ペットが実際に過ごす居室にも目を向けてみてください。
飼育ルールとサポート体制が明確か
ペット可という案内だけでは、入居後の細かなルールまで把握することはできません。
施設見学や契約前の相談では、次のような点を確認するとよいでしょう。
- 現在飼っている犬や猫をそのまま連れていけるか
- 共用スペースや散歩に関する制限はあるか
- 飼い主が体調を崩した際、誰が世話をするのか
- ペットの病気や事故が起きた場合の対応はどうなるか
- 飼育を継続できなくなった場合、どのような対応が必要か
口頭での説明を受けるだけでなく、飼育細則や入居契約書などの書面でも確認しておくと、後々の認識違いを防ぐことができます。
ペットを連れて入居できない場合の選択肢
希望する老人ホームでペットの飼育が認められていない場合でも、すぐに手放すことだけを考える必要はありません。
例えば、訪問介護などのサービスを利用しながら自宅での生活を続ける方法があります。
ただし、介護保険による訪問介護では、ペットの世話は原則としてサービスの対象外です。
必要に応じて家族や民間のペットシッターなどの協力を検討しましょう。
また、ペットを家族に預け、定期的に会える環境を整える方法もあります。
施設の面会ルールによっては、ペットを連れて訪問できる場合もあります。
大切なのは、飼い主とペットの双方が無理なく暮らせる方法を考えることです。
ペットが飼える老人ホームは将来の生活も考えて選ぼう

犬や猫などのペットと一緒に入居できる老人ホームは存在します。
ただし、飼育条件や費用、世話に関するルールは施設によって異なります。
特に重要なのは、現在ペットを飼えるかどうかだけで判断しないことです。
飼い主の身体状況が変化した場合の対応や、緊急時の預け先まで考えておくことで将来の不安を減らすことができます。
長年一緒に暮らしてきたペットとの生活を大切にするためにも、入居者本人の希望と動物の暮らしやすさを両立できる施設を探してみてはいかがでしょうか。