「2027年から介護保険の自己負担が増えるらしい」「1割負担だった人も2割になるの?」と気になっている方もいるのではないでしょうか?
2027年度は、第10期介護保険事業計画が始まる節目の年です。さらに、2026年には介護保険法を含む制度改正も行われているため、調べるとさまざまな情報が出てきます。
ただし、注意したいのは2027年から介護サービスを利用する人全員の自己負担が一律に増えると決まったわけではないことです。
2026年9月時点で大きな焦点になっているのは、現在1割負担になっている人の一部を2割負担の対象にするかどうかです。厚生労働省の社会保障審議会では、2割負担となる所得基準について、第10期介護保険事業計画が始まる2027年度までに結論を出す方向で検討が続いています。
この記事では、現在の介護保険の自己負担を確認したうえで、2027年に向けて何が変わろうとしているのかを整理します。
2027年の介護保険改正で「全員2割負担」になるわけではない

最初に押さえておきたいのは、2027年度から介護保険の自己負担が一律2割になる制度改正は、2026年9月時点では決まっていないという点です。
現在の介護サービスの自己負担は原則1割で、所得によって2割または3割となります。
厚生労働省によると、2割負担は2015年8月、3割負担は2018年8月に導入されました。
現在の基準を簡単に整理すると、次のようになります。
| 自己負担割合 | 主な所得基準 |
| 1割 | 2割・3割の基準に該当しない人 |
| 2割 | 本人の合計所得金額160万円以上で、年金収入+その他の合計所得金額が単身280万円以上など |
| 3割 | 本人の合計所得金額220万円以上で、年金収入+その他の合計所得金額が単身340万円以上など |
2割負担では、夫婦世帯の場合は「年金収入+その他の合計所得金額346万円以上」、3割負担では463万円以上などの条件が設けられています。実際の判定では複数の条件を確認するため、自分の負担割合は自治体から交付される介護保険負担割合証で確認するのが確実です。
また、厚生労働省が2025年3月時点の利用者を集計した資料では、約540万人のサービス利用者のうち、2割負担は約4.3%、3割負担は約3.9%でした。現状では、介護サービス利用者の多くが1割負担となっています。
2027年に向けた最大の焦点は「2割負担になる人を増やすか」
介護保険の自己負担をめぐって、現在特に注目されているのが “2割負担となる「一定以上所得」の基準見直し” です。
現在、単身世帯では「年金収入+その他の合計所得金額280万円以上」などが2割負担の基準となっています。厚生労働省の介護保険部会では、この基準を引き下げ、2割負担となる範囲を広げる案が検討されました。
具体的には、単身世帯について260万円から230万まで、夫婦世帯について326万円から296万円までの複数の基準案が示されています。現在の基準より対象を広げた場合、第1号被保険者の上位およそ25%~30%に相当する所得水準となる想定です。
ただし、この金額に引き下げられることが決定したわけではありません。
2025年1月にまとめられた介護保険部会の意見書でも、生活への影響や医療保険制度の見直しなどを踏まえて検討を続け、2027年度の第10期介護保険事業計画が始まる前までに結論を得るとされています。「2027年から年金収入○万円以上は2割になる」といった情報を見かけた場合は、それが決定事項なのか、審議会で示された案なのかを分けて見る必要があります。
2割負担を広げる場合の負担軽減策も検討されている

2割負担の対象を増やせば、それまで1割だった人の負担が大きくなるかの王政があります。そこで厚生労働省では、単純に負担割合だけを引き上げるのではなく、負担額を抑える仕組みについても議論してきました。
一つは、新たに2割負担になる人について、1割負担だった場合と比べた月々の負担増加額に上限を設ける方法です。介護保険部会では、月7,000円を上限とする案が示されてきました。
もう一つは、収入だけでなく預貯金なども確認し、一定額以下の人については申請によって1割負担に戻す方法です。こちらも現時点では検討段階です。
介護は医療と違い、数年単位で継続してサービスを利用するケースも珍しくありません。そのため審議会でも、負担能力に応じた負担を求める意見がある一方、負担増によるサービスの利用控えを懸念する意見も出ています。
2027年尾介護保険改正を見るときは「1割か2割か」だけでなく、負担が増えた場合の上限や軽減措置がどう設計されるのかも確認したいポイントです。
「介護保険料」と「介護サービスの自己負担」は別に考える
介護保険の負担を考える際、混同しやすいのが「介護保険料」と「介護サービス利用時の自己負担」です。
介護保険料は、介護サービスを利用しているかどうかにもかかわらず、介護保険制度を支えるために支払うものです。一方の自己負担は、実際に介護サービスを利用したときに支払う費用を指します。
65歳以上の第1号被保険者が支払う介護保険料は、市区町村が3年間の介護保険事業計画に基づいて設定しています。現在の第9期介護保険事業計画期間は2024~2026年度で、第1号保険料の全国平均基準額は月6,225円です。2027年度からは第10期に入るため、各自治体で次の3年間の保険料が設定されます。
つまり「2027年の介護保険料が全国一律で○円になる」という仕組みではありません。
2026年9月18日に予定されている介護保険部会でも「第1号保険料の在り方」と「持続可能性の確保(給付と負担)」が議題となっており、次期制度に向けた検討が続いています。
2026年の法改正では一部の相談支援について自己負担が導入される

もう一つ、介護保険の自己負担について押さえておきたいのが、2026年に成立した改正法です。この改正では、中重度の要介護者などを受け入れる一定の有料老人ホームに登録制度を導入するとともに、対象となる住宅型有料老人ホームの入居者に対して、ケアプラン作成や地域生活相談を行う「登録施設介護支援」という新しい仕組みが設けられています。
登録施設介護支援については、原則1割の利用者負担を求める仕組みです。ここで注意したいのが「ケアマネジャーへの相談がすべて有料になる」という話ではないことです。
現在の一般的な居宅介護支援では、ケアプラン作成に利用者負担はありません。今回の改正で自己負担が設定されるのは、登録対象となる有料老人ホームの入居者向けに新設される相談支援です。
さらに、この仕組みは2027年4月から一斉に始まるものではありません。改正法は原則2027年4月施行ですが、登録施設介護支援の創設に関わる規定は、2026年6月25日の公布から3年以内に政令で定める日に施行とされています。
「2027年からケアマネが有料化する」と一括りにするのではなく、どのサービスが対象なのかまで確認することが大切です。
2027年に向けて確認したいのは「3つの負担」
今後の介護保険制度を理解するなら「負担がどう上がるかどうか」だけを見るより、次の3つを分けて考えると整理しやすくなります。
- 介護サービス利用時の1割・2割・2割の自己負担
- 65歳以上などが支払う介護保険料
- 食費・居住費や新しい相談支援など、サービスごとに発生する費用
例えば、2割負担の所得基準が変わらなくても、住んでいる自治体の介護保険料が変わることはあります。
反対に、介護保険料の変化が小さくても、2割負担の対象になればサービス利用時の支出は増える可能性があります。
「介護保険の自己負担」という一つの言葉だけで考えると、こうした違いが見えにくくなります。
介護保険の2027年改正は「何が始まったか」を確認しよう
2027年度は第10期介護保険事業計画が始まり、介護保険制度にとって大きな節目になります。
2026年9月時点で押さえておきたいのは、介護サービス利用者全員の自己負担が2割になると決まっているわけではないことです。
一方で、2割負担となる所得基準については、2027年度が始まるまでに結論を出す方向で議論されています。また、第10期の介護保険料や、2026年の法改正に伴う新しいサービスの負担なども今後確認が必要です。
介護保険の改正についてニュースを見る際は「検討されている案」と「すでに成立・決定した制度」を分けて見ることが重要です。特に自己負担は家計に直接関わるため、2027年に向けて厚生労働省や自治体から公表される最新情報を確認していきましょう。