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2021.01.13

寝たきりの高齢者にできやすい褥瘡(じょくそう)とは?原因と予防法を解説

褥瘡(じょくそう)とは、皮膚の一部が圧迫してできてしまう床ずれのことです。
ただのあざとは違い、一度なってしまうと治すのに時間を要します。

この褥瘡は寝たきりの高齢者にできやすいのが特徴で、「感染症」や「後遺症」などの危険性もあるので、しっかりと予防・診断をしなくてはいけません。

今回は、褥瘡(じょくそう)の症状・予防や診断方法についてご紹介いたします。

褥瘡(じょくそう)とは|皮膚の一部が圧迫してできる床ずれ

はじめに褥瘡とはどんな病気なのか説明します。
褥瘡(じょくそう)とは、皮膚の一部が圧迫されてできてしまう床ずれのことです。

皮膚の表面には様々な血管(毛細血管)があり、血液を循環させ身体に栄養を届けています。
しかし、皮膚や身体の一部分に圧力をかけ続けてしまうと、この血管から栄養をうまく届けることができず、皮膚表面から内部の細胞が圧死してしまうのです。
皮膚が圧死することを『虚血性壊死』と呼ぶのですが、虚血性壊死がさらに進行すると感染症のリスクがあるなど、非常に危険な状態になります。

特に、寝たきりの高齢者にできやすいのが特徴です。

褥瘡(じょくそう)の始発部位

人間の体の作りや構造は人それぞれで、褥瘡のなりやすい部位も人によって様々です。
寝たきりの状態でも褥瘡ができない方もいれば、すぐにできてしまう方もいます。

とはいえ、基本的に褥瘡は骨の突出部分と脂肪の薄い箇所にできやすい傾向があります。
例えば、お尻の上の仙骨部や背中周りの肩甲骨などにできやすく、圧のかかりやすいかかと部分にもできるケースもあるのです。

褥瘡(じょくそう)の症状|初期症状は皮膚の一部分が赤く腫れる発赤

褥瘡の初期症状は、皮膚の一部分が赤く腫れる発赤(ほっせき)が見られます。その発赤が悪化すると水疱(すいほう)や紫斑(しはん)が現れるのです。

水疱は、一般的に水ぶくれと呼ばれる半球状に突出した状態のことで、紫斑は皮下に出血して紫紅色に見える、あざのようなものです。
さらに進行すると、皮膚の表面が黒ずんでくる虚血性壊死が起きます。
そこからさらに悪化してしまうと、皮膚の内部に空洞ができる、骨が浮き上がるなどのかなり危険な状態へと移行します。
感染症の恐れがある非常に深刻な状態なので、早めにかかりつけ医へ診断を受けてください。

『NPUAP(米国褥瘡諮問委員会)』の4つのステージでは、褥瘡の重症度を『深さ』によって分類します。

  • ステージI:指で圧迫しても色の変わらない発赤(ほっせき)が皮膚上にみられる
  • ステージII:皮膚の表面が剥離して真皮層が露出、または水疱や紫斑ができ始めている
  • ステージIII:症状が皮膚表面だけでなく皮膚の内部まで及んでおり、組織欠陥がみられる
  • ステージIV:骨や筋肉、腱が露出してしまい、組織欠陥が全層にみられる。また、皮膚が黒くなっており空洞が見られる状態

参照:褥瘡の重症度分類|まるわかり褥瘡ケア

褥瘡(じょくそう)が発生してしまう3つの原因

褥瘡の発生原因は以下の3パターン。
さっそく、一つずつ説明いたします。

  1. 長時間の同一体位
  2. 摩擦やズレ
  3. 汚れや蒸れ

長時間の同一体位

長時間同じ体勢をとり続けていると一箇所に圧がかかりすぎるため、褥瘡の原因になります。

そのため長時間の同一体位は、寝たきりで寝返りのうてない高齢者に発生しやすいです。
また、本人に合わない窮屈な寝衣でも圧迫してしまうので、注意してください。

摩擦やズレ

摩擦やズレは褥瘡の原因となります。ご高齢の皮膚は摩擦やズレに弱く、圧をかけてしまうためです。

また、シーツや寝衣にシワのある状態だと褥瘡ができやすくなります。
さらにベッドから車椅子に移乗するときに発生する摩擦でも、褥瘡のきっかけとなるので注意が必要です。

汚れや蒸れ

皮膚に汚れや蒸れがあると褥瘡になる傾向が高まります。不衛生にしていると皮膚の健康状態が失われるためです。

例えば、排泄処理不足で尿が皮膚についたまま、室温が高く発汗で濡れたままなど、衛生的でない状態だと褥瘡になる可能性が高くなるのです。

褥瘡(じょくそう)の診断場所や診断内容

褥瘡の初期症状を発見したら、まずはかかりつけの医師や看護師等に相談してください。
もしくは、お近くの皮膚科や一般の大型病院での診断を推奨します。

褥瘡に対応している病院は全国に展開されており、意外にも多いので早めに診断しましょう。
参照:褥瘡受入病院一覧|日本褥瘡学会

病院やかかりつけ医での診断内容は、患者の年齢や健康状態を確認したあと、褥瘡の進行具合を診断します。
健康状態の確認にあわせて、日頃行っている介護のやり方なども確認します。
褥瘡の重症度の判定には、『日本褥瘡学会』が開発した褥瘡の評価ツール『DESIGN-R®』を使用するが一般的です。

DESIGN-R®とは、Depth(深さ)、Exudate(滲出液)、Size(大きさ)、Inflammation/Infection(炎症/感染)、Granulation(肉芽組織)、Necrotic tissue(壊死組織)、および末尾のPocket(ポケット)の7項目で重要度を測定する診断方法のことです。
参照:改定DESIGN-R®2020|日本褥瘡学会

褥瘡(じょくそう)の治療方法|自身で行わずにかかりつけ医か病院へ

それでは、褥瘡の治療方法を見ていきましょう。

褥瘡の治療は、できるだけご自身では行わず、かかりつけ医か病院で治療してもらいましょう。
また、治療方法や手順は褥瘡の重症度や状態によって異なります。

看護師や医師による褥瘡の治療方法は、褥瘡箇所の洗浄やガーゼでの保護、塗り薬等が一般的です。
圧死した皮膚を切除することもありますが、いずれも褥瘡の状態によって異なります。

もし医師等による治療が難しい場合、褥瘡箇所をこすったり触ったりせずに発赤している箇所をマッサージしてください。
また、温かいタオルで蒸して血液の循環を促進させる方法もあり、褥瘡の悪化を遅らせることができます。

褥瘡(じょくそう)の予防方法|状況に合わせたプランを立てよう


最後に、褥瘡の予防方法についてみていきましょう。

褥瘡の予防方法も治療と同様に、褥瘡の状態や進行状況によって異なります。
まずは、かかりつけ医や病院に相談して状況にあわせたプランを立てましょう。
すぐに相談をするのが難しい場合、下記の予防方法を参考にしてください。

  1. 皮膚への圧迫を減らす
  2. 身体を清潔に保つ

皮膚への圧迫を減らす

皮膚の一箇所にかかる圧をできるかぎり減らしましょう。圧がかかり続けると褥瘡の原因となります。

具体的には、シーツのシワをとったりその人にあった寝衣に変えたりしてください。
寝たきりで寝返りのうてない場合は、一定時間ごとに身体の向きを変えて、一部分に圧をかけすぎない調整をおすすめします。

身体を清潔に保つ

体の不衛生さが褥瘡の原因となるため、身体を常に清潔にしておくと褥瘡の予防になります。

具体的な予防方法としては、排泄処理の際に尿や便がこびりつかないよう、拭き取りを十分に行うことです。
また、おむつやパッドを通気性の良いものに変更することを推奨します。
発熱や発汗をした際はタオルで丁寧に拭き取ってください。
寝たきりのご高齢者で介助が大変な場合、訪問介護サービスを利用すると良いでしょう。

入浴専門の訪問サービスもあるのでぜひ検討ください。
→「訪問入浴のサービス内容とメリットをご紹介」

まとめ|褥瘡(じょくそう)を発見したらすぐに相談しよう


ここまで、褥瘡(じょくそう)の症状、治療方法と予防方法について触れてきました。

褥瘡とは皮膚の一部が圧迫されてできる床ずれのことで、寝たきりの高齢者になりやすい症状です。
また人によってなりやすい部位が違います。
褥瘡の初期症状は、皮膚の一部分が赤く腫れる発赤(ほっせき)が見られ、悪化すると水疱や紫斑が現れるのです。
発生原因は長時間の同一体位、汚れや蒸れなど、様々な原因が考えられます。

褥瘡は病気の一種であり、素人では褥瘡の重症度を判断することはできません。
そのため、もし褥瘡の初期症状が見られた場合、まずはかかりつけ医か病院へ相談してください。
その人にあった適切な治療を行うことで早めの改善へとつながります。
褥瘡処置に対応している病院一覧

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