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2021.06.24

ご高齢者にとって危険な誤嚥性肺炎とは?原因や予防法について解説

唾液や飲食物を誤って気管に送り込んでしまうことを「誤嚥(ごえん)」といい、その時に唾液や飲食物に付着した細菌が肺に流れ込むことで起こる炎症を「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」といいます。

実はこの誤嚥性肺炎、年間約4万人が死亡している、ご高齢者にとって身近な病気なのです。

そのためこの記事では、誤嚥性肺炎が起こる原因、具体的な予防方法についてご紹介します。

誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)とは|肺に細菌が入り炎症が起こる病気

誤嚥性肺炎とは、食べ物が気管へ入り付着していた細菌によって引き起こる肺炎のことをいいます。

これは、食べ物や飲み物をうまく飲み込むことができない「嚥下障害(えんげしょうがい)」から発症するケースがほとんどです。

噛む力や舌を動かす筋肉が弱まる嚥下障害になると、食事中のむせこみが増えます。
そうなると唾液や飲食物が気管に入ってしまう可能性が高まり、さらに反射機能が鈍りやすいご高齢者は肺へ流動した飲食物を排出できず、症状を招いてしまうのです。

ただし、全ての誤嚥が肺炎につながるわけではなく、誤嚥物と体の免疫力や抵抗力のバランスで決まるのです。

また誤嚥性肺炎が起こる原因には食事中以外にも、睡眠時、胃の中の食べ物が逆流する「胃食道逆流」により誤嚥してしまう可能性もあります。

さらに、口から食事をとることができない方が胃や鼻に管を通して直接栄養物を送り込む経管栄養法を行っている方でも、唾液や異物が気管に入り誤嚥性肺炎を引き起こすことも少なくありません。

経管栄養についての詳細はこちらをご参考ください。
→「経管栄養で注意すべきポイント」

誤嚥性肺炎の4つのサイン

誤嚥性肺炎には以下の4つの症状がみられます。

  • 呼吸が苦しくなる
  • 熱がでる
  • 激しい咳と膿性痰(黄色いタン)がでる
  • 肺雑音がある(胸部の不快感)

これらは、風邪と間違えてよく診断されることがあるのですが、ご高齢者の方にこのような4つのサイン(症状)がみられる場合は誤嚥性肺炎を疑っても良いかもしれません。

また、人によっては「夜中に咳き込む」「食事の時間がいつもより長い」「食後元気がなさそう、疲れた様子でいる」「体重が減ってきた」などの症状が現れる場合もあるので、ご家族の方が日頃から気を配っておくことで早期発見につながるのです!

誤嚥性肺炎の具体的な治療方法

誤嚥性肺炎の治療方法は、肺で繁殖した細菌に対して有効な「抗菌薬」による治療が基本となり、それに加え呼吸状態や全身状態が不良である場合は入院による治療を行います。

また、誤嚥性肺炎は一般的に飲食物の摂取とともに誤嚥が発生しやすい傾向にあるため、誤嚥性肺炎と診断された場合は飲食を一旦禁止し治療に専念します。そのため、治療中は免疫力や体力が低下し疲れやすい体になってしまいます。

抗菌薬は肺炎自体には効果がみられる治療ですが、再び誤嚥が起こると症状を発生してしまうので誤嚥性肺炎のリスクを減らせるようストレッチや口腔ケアなどを行い日頃から予防しておくことが大切になります。

誤嚥性肺炎の5つの予防方法

誤嚥性肺炎の具体的な予防方法は次の5つです。

  • 食事の工夫
  • 食事中の意識
  • 胃液・胃酸の逆流の防止
  • 口腔ケア
  • 免疫力をつける

食事の工夫

食事は食べやすく一口大に切り、舌と上あごでつぶせるくらいやわらかく調理します。
また、汁物にはとろみをつけるなどの工夫をして誤嚥を予防しましょう。

<誤嚥が発生しやすい食材>

次のような特徴をもつ食材を調理するとき、食べるときには十分注意しましょう。

・弾力が強いもの:こんにゃく、かまぼこ、いかなど
・喉につまりやすい、はりつきやすいもの:お餅、海苔など
・繊維が多く飲み込めないもの:ゴボウ、水菜、葉物の茎など
・ボソボソ・パサパサするもの:そぼろ、チャーハン、焼き魚、ゆで卵など
・酸味が強いもの:柑橘類、酢の物
・液体類:味噌汁、水、お茶、ジュース

食事中の意識

食事中はテレビや新聞を見たり会話をするといった“ながら食べ”はさけ、食べることだけに集中しましょう。
そして、噛む回数は30回以上を意識してゆっくりと食事をとるようにします。
早く片付けたい気持ちも分かりますが、食事中に急かすようなことをしてはそれこそ誤嚥のリスクが高まってしまうので絶対にやめましょう。

胃液・胃酸の逆流の防止

胃の中のものが食道へ逆流するのを防ぐため、食事中はしっかり座って食べて、食後すぐに(2時間程度)横にならないように気をつけましょう。

また、食べ過ぎにより胃を圧迫してしまうと逆流につながるので一食分の量にも注意しましょう。

口腔ケア

誤嚥性肺炎の再発や悪化を防ぐには口腔ケアが欠かせません。
歯磨きや義歯の手入れはしっかり行うと同時に、舌も丁寧に磨くようにしましょう。

そうして日頃から口腔ケアすることで細菌が減り、誤嚥が発生しても肺炎のリスクを減らすことができるのです。

免疫力をつける

免疫力低下を防ぐために睡眠や運動を行い規則正しい生活を心がけることは重要ですが、栄養価の高いバランスの取れた食事をとることもとても大切なのです。

特に、肉、魚、卵、大豆製品、乳製品といった良質なタンパク質を摂取すると免疫力アップに繋がります。

さらに、抗酸化作用のある緑茶や果物、緑黄色野菜、きのこ類、発酵食品などを毎日バランス良く食べることで免疫力を維持した健康的な体をつくることができるのです。

また食欲がないときは、栄養補助食品を利用するなどし効率的に栄養を補給しましょう。

誤嚥性肺炎のリスクを知り毎日の予防を心がけよう!

この記事では、誤嚥性肺炎のリスクや原因、予防方法についてご紹介いたしました。

誤嚥性肺炎は特に、70歳以上のご高齢者にとって死亡リスクの高いとても危険な、そして身近な病気です。

そのため、誤嚥性肺炎が起こりやすい食事中は特に意識して「ゆっくりよく噛んで食べる」「やわらかいもの、とろみのついた食事を食べる」「バランスのとれた食事」「食後すぐに横にならない」「口腔ケア」など、日頃からできる予防を徹底しましょう。