皆さんは「ヤングケラー」という言葉を耳にしたことはありますでしょうか。
今日本ではこのヤングケアラーと呼ばれる子供が多く存在しています。
昨今メディアでも大きく取り上げられている内容で、かなり多くの割合の子供が直面しています。
そこで今回はヤングケアラーと呼ばれる子供の現状とそれに対する視線策について解説していきます。
もくじ
ヤングケアラーとは家族の介護を行う18歳に満たない子供を指す
ヤングケアラーとは本来大人が担うとされている家事や家族の世話などを大人に変わって行っている18歳未満の子供を指します。
行っている内容としてはさまざまなものが挙げられますが、以下がその一例です。
- 障害や病気を持っている家族に代わって掃除や買い物、洗濯、料理などを行っている
- 家族に代わって自分より幼い兄弟や姉妹の世話を行っている
- 障害や病気を持っている兄弟や姉妹の見守りや世話を行っている
- 目を離すことができない家族の見守りや声掛けなどを行っている
- 第一言語を日本語としない家族の通訳をしている
- 障害や病気を持っている家族との家計を支えるために労働を行っている
- ギャンブルやアルコール、薬物などの問題を抱えた家族に対応している
- 精神疾患や癌、その他難病などの慢性的な病気を患っている家族の看病をしている
- 障害や病気を持っている家族の身の回りの世話を行っている
- 障害や病気を持っている家族の排泄介助や入浴介助を行っている
令和2年に厚生労働省が行った調査では、
調査に参加した全日制高等学校の約49%、中学校の約46%のヤングケアラーが存在するという結果が出ています。
共働き世帯の増加や晩婚化、高齢者の急激な増加によって子供にも頼らざる負えない家庭が増加したことが原因として挙げられます。
ヤングケアラーになることで直面する問題とは
ヤングケアラーの問題 ① 学業への影響
ヤングケアラーは家族への世話に時間が割かれる為、勉強に十分な時間を確保することができないことが多くあります。
それにより学業に支障がでたり、希望の進路を選べなかったり、遅刻早退欠席の増加、最悪の場合通学が困難になり休学、退学を余儀なくされたりすることもあります。
ヤングケアラーの問題 ② 進路、就職への影響
ヤングケアラーは勉学に励むことができなかったことによって進学先の幅が狭くなってしまったり、自分が行うことができる仕事の範囲を自ら狭めて考えてしまい、就職先が見つからなかったりするということも起こりえます。
ヤングケアラーの問題 ③ 交友関係への影響
ヤングケアラーは本来学生時代に育むことができた周囲との交友関係が家族の世話や面倒をみることに割かれる時間によって失ってしまい、コミュニケーション能力が欠如してしまう可能性もあります。
ヤングケアラーの問題 ④ 周囲に相談することができない
ヤングケアラーの多くは「家族の世話をすることが普通」「周囲に相談しても良いことなのか」という考えを持ち、悩みや困りごとを周囲に相談することができないことが多いです。
ヤングケアラーが抱える問題に対する支援
昨今ヤングケアラーが大きな問題になりつつある中、日本では以下のような支援を考えています。
ヤングケアラーの支援 ① 早期把握
ヤングケアラーは本人に自覚が無かったり、人一倍責任感が強いことで「自分でどうにかする」「家族の問題だから他の人には知られたくない」という気持ちを持っていて家での状況を隠したりしている人も多く見受けられます。
その為、まずはヤングケラーをいち早く発見して支援につなげるための支援策を国は考えています。
その内容としては医療・介護・福祉に携わる関係者や教育関係者、さらには児童委員やこども食堂などを対象にした研修を実施し、ヤングケアラーへの理解を深めてもらい、周囲の大人がヤングケアラーに気付きやすい環境作りをすることが挙げられます。
研修を通じてヤングケアラーに多く見られる兆候や特徴などを参加者につかんでもらうことで、早期発見やそこからの自治体との連携をよりスムーズに行うことができます。
ヤングケアラーの支援 ② 相談支援
ヤングケアラーの子供が多く抱える「中々周囲に相談することができない」という悩みに対し、対面だけではなくオンラインやSNSなどのツールを用いて気軽に相談することができる環境を整える活動を行っています。
また、ソーシャルワーカーやスクールカウンセラーの配置なども通してヤングケアラーのサポートにつなげていこうと考えています。
ヤングケアラーの支援 ③ 家事育児支援
兄弟や姉妹への世話を行っているヤングケアラーに対して、家庭での家事・育児を支援することができるサービスの設立を考えています。
ヤングケアラーの支援 ④ 介護サービスの提供
親や祖父母、さらには兄弟や姉妹の病気や障害に対する介護によってヤングケアラーになっている家庭は、子供による介護がある為介護サービスの提供が必要ないと判断されていており、十分なサービスが受けられていない可能性があります。
その為、こどもによる介護を前提にせず提供できる介護サービスの充実化を考えています。
ヤングケアラーの問題を解決するためには支援の充実化が重要
少子高齢化によって今後さらに高齢者の数は多くなり、必然的にヤングケアラーと言われる18歳未満の子供は増えていくと考えられます。
この問題を少しでも解決させるためにはヤングケアラーの周りを取り巻く悩みや困りごとを全面的に支援していくことが必要不可欠です。
一人で抱え込むヤングケアラーを一人でも少なくし、日本全体で高齢者を助けることができる社会づくりを一緒に目指しましょう。