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2021.01.15

入浴介助を安全に行うために | 入浴介助の手順や行う際の注意点を解説

自宅のお風呂で家族の介護をする入浴介助では、体力面で不安視されている方が多いと感じます。
入浴介助は介護の中でも難しい部類に含まれるので、慣れない介護では不安を感じるのは当然です。
また、入浴介助には注意すべきことがたくさんあり、それを知らないと大事故へ繋がる可能性があるのです。

そうならないためにも、今回は入浴介助の適切なやり方、ご高齢者がお風呂に入る目的についてご説明いたします。

入浴介助とは|自力で入浴できない方へのお手伝い

入浴介助とは、自力で入浴するのが困難な方に対してお手伝いをすることです。

なるべくご自身の能力だけでの入浴がベストなので、あくまで1人でやるのが難しい行為のみを介助します。
入浴のすべてを手伝ってしまうと、介護を受ける側の身体機能が低下してしまうためです。
入浴介助に限らずそのほかの介助でも、極力自身の力を引き出す「自立支援」が大切となります。

ご高齢者の健康を維持するためには入浴が必要です。しかし、入浴時には様々な危険と隣合わせなので、十分に注意しなければなりません。
入浴前にやるべきこと、入浴後の注意点をしっかりと理解して安全な入浴を心がけましょう。

入浴介助に必要な物

入浴介助を安全に行うには事前に用意すべき物がいくつかあります。
介助する際に必要な物、介助する人が身につける物の2つを見ていきましょう。
また、入浴介助で必要な物は人によって異なるケースもあります。下記をベースにして、他の物が必要な場合は追加で用意してください。

■介助する際に必要な物

  • バスタオル
  • 着替え
  • 新しいおむつ
  • ボディソープ
  • スポンジ
  • シャワーチェア
  • 転倒防止マット
  • 保湿剤や塗布薬
  • 爪切り

■介助する側が身につける物

  • エプロン
  • 滑りにくい靴
  • 手袋
  • マスク

ご高齢者がお風呂に入る3つの目的

感染症の予防

入浴で身体を清潔にすることは感染症の予防につながります。
皮膚についた汚れや細菌を取り除くことができるためです。
汚れや雑菌のついた状態で生活すると、あらゆる病気のリスクが高まります。
例えば、皮膚の表面を不潔にしていると「褥瘡(じょくそう)」の原因に。また、尿道に細菌が入る事で引き起こす「尿路感染症」などに感染してしまうのです。
様々な感染症を予防するためにも、入浴で清潔感を保つのが重要だといえます。

また、身体を清潔にすると同時に健康状態の確認もできるので、入浴をすることでケガや病気の早期発見につながるのです。

身体機能の向上

入浴を行うことで身体機能の向上が期待できます。
なぜ入浴をすると身体機能の向上に期待できるのでしょうか?それは、入浴には新陳代謝を高める効果があるためです。
人間の身体は入浴によって体温を高めると、血液の流れを活性化させる作用があります。
血流が良くなると新陳代謝が高まり、髪の毛が生え変わったり皮膚がキレイになったりと、細胞の再生速度が向上します。
さらに細胞の入れ替わりが向上すれば肺や心臓の機能向上にも期待できますし、全身の機能を上げてくれるのです。

また入浴を行うことで、筋肉や関節が凝り固まってしまう拘縮(こうしゅく)を軽減できるでしょう。

リフレッシュ効果

入浴には心からのリラックス効果を得られます。
なぜなら入浴することで、副交感神経を刺激できるためです。
お風呂から上がったあとに気分がリフレッシュされた経験はありませんか?
それは入浴によって引き起こる温熱作用からきています。温熱作用とは、湯船に浸かることで全身が温まることです。
35度〜38度のお湯にゆったり浸かると、全身に温熱作用が起こり血流促進の効果を促します。
血流を良くすることは副交感神経の刺激へとつながり、リラックス効果をもたらしてくれるのです。

参考:交感神経と副交感神経の役割|日本セラピーグループ

入浴介助を行う前にチェックすべきこと


次に、入浴介助を行う前にチェックすべきことについて触れていきます。
ご高齢者の入浴には様々なリスクがともないます。そのため安全を最優先に考え、体調の悪いときや食事前後は入浴を控えてください。
入浴時の安全を念頭に置いて、チェックリストを確認していきましょう。

バイタルチェック

入浴介助を始める前にバイタルチェックを行ってください。
入浴は一時的とはいえ体温を急上昇させるため、少しの体調変化で危険な状態へとなりかねません。
下記のチェックリストに沿って確認を行いましょう。

□血圧は高すぎないか?
□発熱はないか?
□脈拍数に異常はないか?
□呼吸数に異常はないか?
□食欲はしっかりあるか?
□気になることはないか?

浴室の環境チェック

入浴時では床に滑って転倒したり、ぶつけてあざになったりなど様々な事故が起こりえます。
それらの事故を防止するためにも、浴室の環境チェックを十分に行いましょう。
下記のチェックリストを参考にしてください。

□浴室の温度は適切か?
□滑りやすくなっていないか?
□つまづくような物は落ちていないか?
□浴槽は清潔に掃除してあるか?
□バスタオルや衣類は用意してあるか?

入浴介助の適切なやり方と手順

入浴前

入浴前には事前準備や確認を十分に行いましょう。

(1)バイタルチェックと浴室の環境チェックを行ってください
(2)浴槽にお湯をためて必要な物をすべて用意します
(3)排泄介助やトイレを済ませて脱衣所へ案内します

入浴中

入浴中はご高齢者の体力を奪います。入浴介助を行う際は細心の注意をはらいましょう。

(1)ご高齢者の肌が触れる椅子や浴槽まわりをお湯で温める
(2)足元に気をつけながら専用の椅子に座っていただく。このとき体勢を崩しやすいので身体を支えてください
(3)シャワーからお湯を出して、声掛けしてから身体を温める。お湯を当てる前には温度チェックを忘れずに行ってください
(4)足からお湯を当てていきます。頭から顔、身体といった順番で洗っていきましょう
(5)全身を洗い終えたら流し残しがないかチェックします。そのあと浴槽に入っていただきますが、浴槽をまたぐときは転倒しやすいので注意してください
(6)浴槽に浸かる時間はおおよそ5分程度がベストです。のぼせないよう十分に観察しましょう
(7)浴槽、浴室から出るときは非常に滑りやすいので、足元に注意しつつ退出してください

入浴後

入浴が終わったからといって気を抜いてはいけません。湯冷めから病気にかかるケースもあるので注意しましょう。

(1)濡れている箇所をしっかりと拭き取ります。足が濡れたままだと滑ってしまうので注意しましょう
(2)ゆっくりと椅子に座ってもらい、保湿剤や塗布薬を塗って着替えていただきましょう。必要であれば着衣介助を行います
(3)髪の毛をドライヤーで乾かします。半乾きだと湯冷めして体調を崩してしまうので、十分に行いましょう
(4)水分補給を行い、再度バイタルチェックをします

入浴介助をやる際の注意点!

ヒートショック

入浴介助を行う際はヒートショックに注意しましょう。
ヒートショックとは、急激な温度差によって血圧の変動が起こるショック症状のことです。
例えば冬場の浴室温度はとても低いので、入室した際に他の部屋との温度差でヒートショックが起きてしまいます。
そうならない対策として、脱衣所に小型ストーブを設置するなどが考えられます。
できるだけ他部屋との温度差を縮めるよう努めてください。

できることはご自身で行う

できることはご自身で入浴を行っていただきましょう。
なぜなら、すべて介助してしまうと身体機能の低下を引き起こすためです。
入浴を行う一連の動作にはご自身の頭で思考して、ご自身の身体を使う運動が含まれています。
頭や身体を日頃から使うことで認知症や拘縮(こうしゅく)の予防になり、身体機能の低下を防げるのです。
そのため安全を確保しつつ、なるべくご自身で入浴してもらいましょう。

転倒によるケガ

先程お話した通り、ご自身の力のみで入浴していただくのがベストです。
とはいえ、入浴介助では転倒によるケガや事故のリスクがあるので十分注意しましょう。
浴室や浴槽内はとても滑りやすいためです。
ご高齢者は少し移動するだけでも体力をかなり使います。
入浴ではなおさら体力を消耗してふらつきが見られるでしょう。
そのふらつきがある状態だと浴室の床は滑りやすく、事故やケガにつながりやすいのです。
転倒による事故を未然に防ぐためにも、常に細心の注意を払っておかなければいけません。

特に注意すべきは浴槽をまたぐときです。転倒リスクが高まるのでしっかり支えてあげましょう。

まとめ|安全な入浴介助を心がけよう

今回は、入浴介助のやり方や手順、ご高齢者がお風呂に入る目的についてご説明いたしました。

入浴介助とは、自力で入浴するのが難しい方に対して入浴を手伝う介護です。
しかし、すべてを介助してしまうと身体機能の低下につながるため、なるべくご自身の能力を引き出す必要があります。

また、ご高齢者の安全第一を考え、入浴介助の前にはバイタルチェックと浴室の環境チェックを行いましょう。
快適な入浴をするためにも、入浴前・入浴中・入浴後と、それぞれ異なるやり方を覚えておいてください。

入浴介助は様々なリスクと隣り合わせなので、事前にやるべきことや注意点をしっかり意識しましょう。
安全な入浴介助をするための参考になりましたら幸いです。

また、ご家族の介護に不安がある場合は、介護保険制度を適用できる訪問介護サービスを試すのも1つの手です。
訪問介護サービスについては『在宅生活を続けられる訪問介護とは?』で詳しくご紹介していますので、気になる方はチェックしてみてください。

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