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2021.01.08

ユマニチュードが介護の本質といわれる理由とは | 必要とされる4つの柱と5つのステップを解説

認知症ケアは介護の中でも非常に難しいケアの1種です。

しかし、ユマニチュード(認知症ケアの技法)を深く学ぶことで、お互いに気持ちのよいスムーズな認知症ケアを行うことができるのです。

早速、ユマニチュードの本質や4つの柱、5つのステップについて説明してまいります。

ユマニチュードとは?|フランス発の認知症ケアの技法


まずはユマニチュードの基礎から見ていきます。
ユマニチュードとは、フランス発の認知症ケアの技法のことを表します。

ユマニチュードには「人間らしさを取り戻す」という意味があり、認知症患者に対し「ひとりの人間」として、しっかり向き合うことを大切にしています。
また、その人の持つ能力を奪わないことに重きをおいている技法です。
そのために必要となるのが、「見る」「話す」「触れる」「立つ」の4つの柱

そして、「出会いの準備」「ケアの準備」「知覚の連結」「感情の固定」「再会の約束」、この5つのステップも非常に重要となります。
相手に不快感を与えない認知症ケアを覚えることで、気持ちの良いコミュニケーションがとれるようになるでしょう。

ユマニチュードの歴史

ユマニチュードは、フランス人であるイヴ・ジネストさんとロゼット・マレスコッティさんが提唱しました。
約40年で3万人を超える患者さんを通して編み出したといわれています。日本に初めて訪れたのが2012年で、少しずつユマニチュードは広まりました。
また、現在では10か国以上の医療現場・看護現場でユマニチュードが活用されており、世界的に有名な認知症ケアなのです。

ユマニチュードに必要な4つの柱


次にユマニチュードに必要な4つの柱をご紹介します。
ユマニチュードの4つの柱を知ることで、相手の尊厳を守りつつわかりやすく伝える技術を身につける事ができます。
この4つの柱は単体で使用するのではなく、複数を同時に組み合わせて活用していきます。

  1. 見る
  2. 話す
  3. 触れる
  4. 立つ

見る

正面から目をしっかり見ることで、安心感を与えることができます。
平等な存在だと認識してもらえるため、相手への誠実さが伝わるでしょう。それと同時に、お互いにポジティブな感情が湧き上がるのです。
しかし、認知症の方は視野が非常に狭くなっているので、できるだけ正面から目を合わせてください。
いきなり覗き込んでしまうとビックリするので、ゆっくりと視界に入りましょう。

話す

相手のペースに合わせてゆっくりと落ち着いて話しましょう。
中には耳の遠い方もいるので、その人あった大きさで話すことが重要です。話すときは言葉だけではなく、表情・動作など全身を使って表現すると伝わりやすくなります。

そして、ケアをしている最中は自分の行動を実況するかのように「今から左肩に触れますね」などと、やることを伝えましょう。
このようにケアをしっかり伝えることで、さらなる安心感を得られるのです。
逆に、無言でケアをすると相手は存在を否定されている気分になるので、注意してください。

触れる

ケアをする際は優しく触れて安心してもらいましょう。
触れるときはできるだけ広い範囲で、下から支えるように優しく触れます。逆につまんでしまったり強く掴んでしまったりすると、不安感を与えるので注意してください。
また、相手に触れるときは一声かけてから触れるようにしましょう。

立つ

ケアや移動をするときは、できるだけご自身の力で立ってもらいましょう。
立つことで体内の呼吸器官や筋力が活発になるためです。寝たきりだと体全体がなまってしまい、褥瘡(じょくそう)など怪我の原因になります。
身体の筋力を活発にすることで怪我の予防へつながるのです。また、人間としての尊厳を守ることもできます。
そのため、身体的に良いだけでなく精神的にも良い効果を見込めるため、できる限り立ってもらうようにしましょう。

ユマニチュードに大切な5つのステップ

ユマニチュードに大切な5つのステップは以下です。

  1. 出会いの準備
  2. ケアの準備
  3. 知覚の連結
  4. 感情の固定
  5. 再会の約束

出会いの準備

出会いの準備とは、今から来訪することを相手に伝えるのを意味します。
「いまから行きますよ」「大丈夫ですか?」などを伝えることで、信頼感と安心感を与えられます。
認知症患者は視野が非常に狭くなっているため、いきなり来訪するとビックリさせてしまうのです。
そのため、いきなり来訪するのではなく声掛けを心がけましょう。

ケアの準備

ケアの準備は、今からケアを始めることへの合図です。
ケアの合図をすることで不安感を取り除くことができます。許可なくケアに入ってしまうと拒否感が生まれてしまい、スムーズなケアができません。
上手くケアするためにも、ケアを始める前は合図を忘れずに行いましょう。

知覚の連結

知覚の連結とは、いまなにを行っているのか伝えることです。
認知症患者はわからないことが少しでもあると、強い不安感を覚えます。
また、常に五感で状況を感じ取っているため、視界などを遮らないよう注意しましょう。

感情の固定

感情の固定とは、行ったケアの振り返りです。
「あなたと過ごせてよかった」「ケアが楽しかった」などと振り返ることで、満足感へとつながります。
楽しかった、良い思い出などの感情記憶は長い間残りやすく、ケアに対する抵抗感をなくせるでしょう。
ケアの終了を伝えるのはとても大事なことなので、忘れずに行ってください。

再会の約束

再会の約束とは、また会えると伝えることです。
「また今度楽しく過ごしましょう」などと、次回のケアを約束します。次回のケアを約束することで、心の準備へとつながります。
それと同時に、自分はここにいてもいいんだという肯定感を感じられるのです。

ユマニチュードを学ぶべき人の特徴2つ

続いてユマニチュードを学ぶべき人の特徴を紹介します。

  1. 自分の介護に自信がない人
  2. 気持ちを上手く伝えられない人

自分の介護に自信がない人

自分の介護に自信がない人には、ユマニチュードをぜひ学んでいただきたいです。
なぜなら、ユマニチュードは介護の本質だからです。

相手の気持ちを読み取り、然るべき方法で介護を行わなければならない認知症ケアは、介護の中でも特段難しいとされていますが、ユマニチュードではその認知症ケアを網羅的に学ぶことができるのです。そしてこれらが認知症ケアだけでなく、介護の本質へとつながるのです。
ユマニチュードを学んで介護の本質を知ることで、自分の介護に自信がもてるでしょう。

気持ちをうまく伝えられない人

ユマニチュードは、気持ちを上手く伝えられない人におすすめです。
気持ちを伝える様々な手段を学べるためです。
ユマニチュードでは、「話す」「見る」「触れる」など様々なコミュニケーション手段を知ることができます。
そのコミュニケーション手段の意味やメリットを深く学べるでしょう。相手に気持ちを上手く伝えるためにも、ユマニチュードを知るべきだといえます。

ユマニチュードを体現的に学ぶ2つの方法

ここまで、ユマニチュードの4つの柱と大切な5つのステップについて紹介してきました。
ザックリとは理解できたと思いますが、知識だけではユマニチュードを活用するのは難しいです。
そこでこの項目では、体現的にユマニチュードを学ぶ2つの方法を紹介します。

  1. 独学で知識を深める
  2. 講座を受ける

独学で知識を深める

ユマニチュードをさらに学ぶためには、独学で知識を深める方法があります。
この記事で解説したユマニチュードの知識はほんの一握りです。ユマニチュードはまだまだ奥が深く、学習できる知識はたくさんあります。
下記の独学で知識をさらに深められるはずです。

  • ネットで検索する
  • 本で学ぶ
  • YouTubeで動画を見る

 

講座を受ける

体現的に学ぶ方法2つ目は、講座を受けることです。
介護職の方以外にも、一般の方向けのユマニチュード講座があります。
例えば、市民講座「初めて学ぶユマニチュード」。
この講座は、ユマニチュードを知らない介護初心者の方も対象にしており、ユマニチュードの基本となる4つの柱、5つのステップをより詳しく学べます。
講座時間は約2時間で受講料は6000円、ユマニチュード認定インストラクターの方が講義を行ってくれるのです。

  • ユマニチュードを体験してみたい
  • 大切な心構えを知りたい
  • これから介護をする
  • 今すでに介護をしている

上記の方を対象にしていますので、ぜひ検討してみてください。講義を通して体現的に学べば、実際の介護に活用することができるでしょう。
講座について詳しく見る

まとめ:今日からユマニチュードを活用しよう

ユマニチュードは、フランス発の認知症ケアの技法であり、「人間らしさを取り戻す」という意味があります。

「見る」「話す」「触れる」「立つ」、この4つの柱を軸に優しさを伝えていきます。
そして「出会いの準備」「ケアの準備」「知覚の連結」「感情の固定」「再会の約束」の5つのステップを通して、安心感を与えられるのです。
さらに、ユマニチュードは認知症ケアだけでなく介護の本質をとらえています。

ぜひ本記事を参考にして、今日からユマニチュードを活用してみてください。きっとお互いにとって本当に良いケアができるはずです。

 

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