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2021.02.10

介護の負担を減らす「ボディメカニクス」とは?基本原則と注意点を解説

身体の負担を減らす「ボディメカニクス」をご存知でしょうか。

ボディメカニクスを用いることで、自分自身の身体を守れると同時に、介護を受ける側の負担を減らすことができます。
他にも、腰痛を予防できるなどの様々なメリットがあるのです。

しかしボディメカニクスを有効活用するためには、基本原則と注意点をしっかりと理解しなければなりません。

今回は、ボディメカニクスの基本原則と注意すべきポイントを紹介します。

ボディメカニクスとは|お互いの負担を減らす介護技術

ボディメカニクスとは、お互いの負担を減らす介護技術のことです。
介護する側の身体を守るだけでなく、介護を受ける側の負担も減らせます。
ベッドから車椅子に移動させる移乗介助、横になった状態から立ち上がるまでなど、様々な場面で利用できるでしょう。
この力は「身体力学」ともいわれて筋肉や骨、関節を最適に動かすことで成し得る技術です。
そのため、ボディメカニクスを習得するには基本原則を理解しなければなりません。

ほとんどの人は無理な姿勢で介助をしたり、力負けせでやったりと、身体の使い方が適切ではありません。
このボディメカニクスを用いれば人間本来の身体機能をフル活用でき、最小限の力で介護を行えます。
ぜひともボディメカニクスを身に付け、安全安心の介助を行いましょう。

ボディメカニクス8つの基本原則

支持基底面を広げる

第1原則として支持基底面を広げる必要があります。
人間の体重を支えるための床面積を「支持基底面」と呼び、支持基底面が広ければ動作が安定して転倒しづらくなるのです。
立って介助をするときはこの支持基底面を広げるために、両足を大きく広げて行いましょう。
肩幅より少し広い程度がベストだといわれています。

重心を低くする

重心を低くするのはボディメカニクスにおいて重要です。
人間の重心はおへその下辺りにあります。
立って介助を行う際は膝をしっかりと曲げて重心を低くしましょう。
重心を低くすることでバランスが安定し、足のふらつきがなくなります。
介助するときは半分くらい膝を曲げる感覚で行ってください。

重心を近づける

3つ目の原則は重心を近づけることです。
移乗介助などの重心移動をする場合、介護される側の重心にできるだけ近づけましょう。
重心をお互いに近づけることで力が伝わりやすく、小さな力でもスムーズな重心移動を可能にします。
身体を密着させれば安定性が段違いなので、意識してみてください。

大きな筋肉を使う

介助するときは大きな筋肉を使いましょう。
人間は身体の部位ごとに筋肉の大きさが異なります。
太ももやお尻の筋肉は他部位と比べて非常に大きいです。
それら大きな筋肉を積極的に活用すれば安定につながり、身体全体の負担を和らげることができます。

水平に移動させる

移乗介助を行う際は水平に移動させるのを意識することが大切です。
介護するときに身体を持ち上げてしまうと重力の反動を受けて大きな力を必要とします。
また下ろすときには大きな反動がともない、介護される側に大きな負担を与えるでしょう。
水平に移動させることで力を最大限活用できるため、膝をしっかりと曲げてスムーズな移動を心がけてください。

身体をひねらない

介助のときに身体をひねらないよう気をつけてください。
身体をひねってしまうと重心が不安定となり、腰や膝に負担がかかります。
また、体勢が不安定になってしまうため、転倒リスクも高まるでしょう。
膝の屈伸を十分に利用して身体をひねらず介助してください。

摩擦を小さくする

ベッドで行う体位変換の際に意識すべきは、摩擦を小さくすることです。
介護を受ける側の触れている面積を小さくすればするほど摩擦が減って負担を和らげます。
例えば、ベッドで横になっている人を上にずらすときを想像してみてください。
そんなときは膝を立ててから上にずらせば身体との設置箇所が小さくなり、摩擦を減らすことができるでしょう。

テコの原理を使う

テコの原理を使うことで両者の負担を削減できるでしょう。
テコの原理は力を加える箇所「力点」、支える箇所「支点」、加えた力が働く箇所「作用点」の3つで成り立っています。
立つときには膝を支点にしてもらう、といったように介護を受ける側の支点を常に考えてテコの原理を使っていきましょう。

ボディメカニクスのメリットとは?

介護する側の腰痛を防げる

ボディメカニクスを活用することで介護する側の腰痛を防げます。
ご家族の介護などで腰痛に悩んでいる人は多いと思います。
そんなときは腰に負担をかけないボディメカニクスを用いてください。
腰痛予防になるだけでなく、手足の負担や首の痛みの削減にもつながるはずです。
腰痛になってからだと改善するのに時間を要するため、ボディメカニクスを習得して早めの予防を行いましょう。

介護を受ける側の負担が少ない

ボディメカニクスは、介護を受ける側の負担が少ないというメリットがあります。
正しい介助を行わないと介護される側の負担が大きくなり、事故につながりやすくなるでしょう。
身体的なダメージだけでなく、精神的にも不安定となります。
ボディメカニクスの技術を用いれば安全で優しい介護を行えるので、ぜひ活用しましょう。

小さな力で介助を行える

ボディメカニクスは小さな力でスムーズな介助を行うことができます。
テコの原理や身体力学に基づいた介護だからです。
ボディメカニクスを活用できれば、自分より身体の大きい人の介護でも力はあまり必要としません。
力が弱くて介護に自信のない人でも最大限活躍できるでしょう。

ボディメカニクスで注意したいポイント

無理はしすぎない

ボディメカニクスを用いて負担が少なくなっても無理はしすぎないようにしましょう。
無理をすると大事故につながるためです。
確かにボディメカニクスを用いることで負担を減らせ、より安全な介護ができるでしょう。
しかし負担をゼロにする技術ではないため、身体に痛みを感じていたり疲れがあったりすると事故に繋がる恐れがあります。
そんな場合は無理をせずに休息を取りましょう。

介護を受けている人の本人の力を引き出す

ボディメカニクスで負担を減らせるからといって、なんでも介助してしまう人がいます。
しかしできるかぎり介護を受けている人の本人の力を引き出すのがベストだといえます。
本人の力を使わないと身体機能が低下してしまうからです。
介護を受ける側は日頃から筋肉や関節といった機能を利用することで、身体機能を保っています。
その使える力を抑え込んでしまうと筋肉の拘縮(こうしゅく)や劣化が起こってしまい、本人の身体機能が低下してしまうのです。
また本人の気力を削ぐ行為にもなるため、できるだけ本人の力でできるものはやってもらう事が大切です。

まとめ|基本原則を理解してボディメカニクスを活用しよう

今回は、ボディメカニクスの基本原則、注意すべきポイントを紹介してきました。

ボディメカニクスとは身体の負担を減らす介護技術のことで、介護する側の身体を守れると同時に介護を受ける側の負担を減らせます。
今回紹介した基本原則をしっかり理解した上でぜひ活用してみてください。
ただし、両者の負担を減らせる、腰痛を防げるなど様々なメリットはあるものの、活用方法を誤ってしまうと大事故につながるので注意が必要です。

介護は大変なことも多いと思いますが、負担を軽減する為にも、ボディメカニクスを意識して実践してみてください。

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